北海道においては、エゾジカに関連する事故は毎年2000件ほど発生している。奈良公園の周辺も事故多発地帯であり、「一般財団法人 奈良の鹿愛護会」の発表によれば、2021年には193件の事故が起きている。
加えて、動物との衝突は車両側のダメージも大きくなりやすい。
「シカとの衝突で全損というケースも珍しくないです。シカの方は『むくりと立ち上がり去って行った』みたいな記載が結講あるんですが、車両の方は数十万円規模の修理が必要になったり、機関にもダメージが及んで全損になったり、損害額がかなり膨らむ印象です」(SCスタッフ)
地元民にとっては周知の事実かもしれないが、観光でシカやイノシシなどが出没する地域を訪れるケースなど、今一度車両保険の条件を見直しておくとよいかもしれない。
当て逃げは補償対象外?
エコノミー型の車両保険を選択する際には、「当て逃げ」が補償対象外であることにも留意しておきたい。当て逃げというと「駐車場での軽微な接触」がまず思い浮かぶが、双方が走行中に起きた物損事故で、相手が走り去ってしまうケースもこれに該当する。
ある日、残業で帰りが遅くなったBさんは、片側一車線の道を通行中、対向車線から挙動の怪しい車が近づいてくることに気づく。警戒していると、その対向車は突然センターラインを大きく踏み越え、こちらに向かって突っ込んできた。
Bさんはとっさに左側にハンドルを切り、相手車両との接触は回避したものの、避けた拍子に左側のガードレールに衝突。相手はそのまま、何事もなかったかのように去ってしまった。
即座に警察に通報したが、ドライブレコーダーは設置しておらず、暗かったこともあってナンバーや車種はわからない。相手車両との接触が起きていないことから、痕跡によって車両を割り出すことも難しいだろうという。
30万円弱の修理代を自身で負担することに
「車両同士が直接接触していなくとも、加害車両の行為と被害内容との因果関係が明確であれば『誘因事故』として扱われます。通常の事故と同じように、状況に即して過失割合が算出され、これに応じて補償がなされます。
ただ、これはあくまで相手が特定され、因果関係が確認できた場合です。相手が見つからなければ『当て逃げ』と同様に扱われますので、エコノミー型の場合には補償対象外になってしまうんですね」(損保会社スタッフ)
Bさんは保険会社に相談するが、契約中の車両保険はエコノミー型であり、「相手が特定できない事故には適用されない」と伝えられた。結果、30万円弱の修理代を自身で負担する形になった。