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損保会社スタッフ自身が選んでいる特約は?

 結局のところ、それぞれの運転状況や生活状況によって選ぶべき保険商品は変わってくる。しかし一方で、多くの人に共通するようなメリットを持つプランや特約もあるはずである。

 参考までに、損保会社スタッフから、「自分自身が付帯している、あるいは家族など身近な関係の人に強く勧めている」という特約を聞いてみた。

「先の例のように、『もらい事故なのに賠償金が支払われない』というケースを防ぐうえで、弁護士特約は必須ではないでしょうか。保険会社によっては、日常生活の被害事故で弁護士に相談する際にも対応できるため、普段のトラブル対策としても有効かと思われます」(損保会社スタッフ)

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 弁護士特約は一般に、月額にして200円~300円程度で付帯できる。この特約を利用しても次年度の保険料には影響せず、費用負担はそう大きくないと言えそうだ。

「日常生活の事故に備える特約としては、他人にケガをさせたり、他人の物を壊したりといった場面で使える『個人賠償責任特約』も、カバーできる範囲が広く便利です。とくに子どもやペットがいる方の場合、子どもがお店の商品を壊してしまったり、飼い犬が他人を噛んでしまったりというケースにも対応できるので、安心につながるかと思います」(同前)

 その他、自身や同居家族が自転車事故で相手にケガを負わせるといったケースはもちろん、アパートで漏水を起こし、階下に住む住民の家財に損害を与えてしまったケースなどにも適用できるという。自動車保険で「車に乗っていないときのリスク」にも備えられるのは心強いだろう。

補償されるものとされないものをはっきりと見通しておく

「あとは、特約の内容があまり知られていないものとして、主に大手の損保会社が扱う『ドラレコ特約』があります。これは『ドライブレコーダーを貸し出すだけ』と思われがちなのですが、一番のポイントは事故対応の簡便化にあります。

 事故が起きた際、貸与したドラレコから通信を行い、損保会社への事故報告や警察・救急通報が行えます。さらに、車載のドラレコから自動で送信される映像をAIで分析し、過失割合など事故状況を把握できるようなシステムになっているんです。

 自動通報の際に運転者の反応が見られない場合には、事故映像とGPSで場所を特定し、自動的に救急車を手配するといった機能もあります。私も父が機械に弱いので、勧めて付けさせていますね」(同前)

 事故が起きた際には気が動転し、必要な連絡や処理がスムーズにできない可能性も考えられる。事務処理を自動化できれば、ドライバーは負傷者の救護や、道路の危険防止といった措置に意識を向けやすくなるだろう。

 保険商品は「将来のリスク」という不確定な要素を扱うがゆえに、「正解の選択肢」を確定することはできない。プランや特約を選択する際には、「何が補償されるのか」と同時に、「何が補償されないのか」をはっきりと見通しておくことが重要だ。