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中3で母親に整形させられた漫画家が悩む、70代になった“毒親”との将来「母の介護問題にどう向き合えばいいのか…」

グラハム子さんインタビュー #2

2022/06/18
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「頭の中で何度も母に復讐しました。でも今は……」

――おっしゃるように、幼い頃の経験から、大人になっても親との関係に苦しんでいる人は少なくありません。

グラハム子 私も大人になってから10年くらいは悩みました。「母のせいであれもできなかった、これもできなかった」という感情を抑えきれなくて。恨んで恨んで、頭の中で何度も母に復讐しました。

 でも今は、私の心の健康を保てないから一緒にはいられないけど、どこかで幸せに暮らしていてほしいなとは思っています。

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©深野未季/文藝春秋

――どうやってお母さんの幸せを願えるように?

グラハム子 “グレーゾーンの考え方”を知ったからかもしれません。それまではずっと“白か黒か”、“敵か味方か”で物事を判断していました。「自分と異なる価値観の人は敵」だと思っていたから、私と価値観が合わない母は敵に違いないと。

 でも一方で、「暴力を受けたわけでもないし、お金にも困らなかったから、母を恨むのは間違っているのでは」という気持ちもあって……。だからいつかは仲直りしなきゃいけない。そうじゃないと私も母もハッピーになれないと思い込んでいたんですよね。

 そうやって母との関係に白黒つけることができず、ずっと悩んで悩んで、苦しんでいました。

©深野未季/文藝春秋

グラハム子さんの考え方を変えた夫との出会い

――そこからなぜ“グレーゾーン”という考え方に行き着いたのでしょうか。

グラハム子 夫の影響です。彼は「人間には良い面と悪い面があるのが当たり前だし、一度決めたことは後から変えてもいい」と考えている人で。私はその考え方に「こんなグレーな生き方もあるのか!」と衝撃を受けました。

 それに気づいてから、「世の中はグレーなことの方が多いし、グレーを受け入れたほうが楽しいな」と思えるようになったんです。

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