23歳の時に性別適合手術を受け、整形にこれまで2000万円以上をかけて美を追求する姿が注目を浴びているトランスジェンダーの矢神サラさん(33)。六本木で複数の飲食店を経営し、YouTuberやモデルとしても活躍する。

 矢神さんはLGBTQ当事者でありながら、自分自身はいじってもらった方が嬉しいという思いからあえて“オカマ”を自称し、思いに共感した仲間と「東京オカ卍(おかまんじ)会」というグループを組んで活動もしている。

 28歳の時に独立して六本木に店を持った当時、自己破産を覚悟するほどだったという苦しい経験やモデルとしての活躍、性別適合手術での炎上騒動、昨今の性的少数者に対する扱いへの疑問まで赤裸々に語ってもらった。(全3回の3回目/最初から読む)

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性別適合手術を受けたことについて、さまざまな誹謗中傷を浴びた矢神サラさんが明かす心境とは(本人Instagramより)

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自己破産の危機に直面も、“六本木の帝王”に助けられた

――歌舞伎町のガールズラウンジで働いていた矢神さんですが、28歳のときに独立して、六本木でミックスバー「GENIE」を開きます。

矢神サラさん(以下、矢神) 水商売を始めて5年で独立しようとしたんです。ただ私が当時No.1だったこともあって店のトップが「お前は辞めさせない」「歌舞伎町で独立することは許さない」と言われて。お金に余裕があるわけでもないのに、謎の自信と勢いで六本木で店を開きました。

 ただ自己破産するかもと正直思ってました。六本木には知り合いもいないし、店の内装代を含めた諸々で1000万円以上かかりましたね。さらにオープン初日と新型コロナの緊急事態宣言が重なり、「店を営業するな」と言われて。補助金をもらうと店を営業しちゃダメだったので、もらわずに店を開いてました。

――背水の陣で臨んだお店ですが、スタートからうまくいったんですか?

矢神 たまたま引きが強くて、独立を決めてすぐの頃、知り合いの誕生会に呼ばれたんですよ。その誕生会にお金持ちが集まっていて、紹介してもらったんです。「何やっている子なの?」と聞かれて「来月六本木でお店出すんですけど、知り合いもいなければ、身寄りもないし、緊急事態宣言が出るので、私の人生は自己破産に向けてまっしぐらです」とざっくばらんに話して。

 そうしたら、その中の一人が「お前は運がいい。俺は六本木で帝王と言われているんだよ」と言ってきて。実際は帝王じゃなかったんだけど(笑)。ただ、情に厚い人で店がオープンしてから次から次へと知り合いの社長をいっぱい連れてきてくれて、数珠つなぎでお客様が増えていきました。