「手術をしても所詮は男」「女性器はそんな汚れたものじゃない」と誹謗中傷も

――メディアでインタビューを受けることも増えていますが、性別適合手術について「大腸を切って女性器にした」と書かれたことで攻撃をする人もいました。

矢神 攻撃されましたね。「手術をしても所詮は男」「子どもを産めないから女性器ではない」「気持ち悪い」とかヘイトのはけ口みたいな感じで炎上しました。あとは「女性器はそんな汚れたものじゃない」とか。的外れなものも多かったし、悪口選手権でした。ストレス解消のサンドバッグ状態でしたね(苦笑)。

――今年4月には芸能事務所「エイベックス・クラン」に所属したことも発表しました。

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矢神 昔からエイベックスが大好きだったんですよ。アーティストを全部言えるくらいで。そこが大きかったですね。稲村英将社長と知り合って、音楽に対する愛情、エイベックスという会社に対する愛情がすごいことも知って。それとは別口で創業者の松浦勝人さんとの出会いもあったので、エイベックスとの縁も感じて所属を決めました。

 キラキラした世界で活躍するという昔からの夢でもあったし、自分に見える可能性は全部試したいと思っているので。年齢とか性別とか関係なく。エンタメを作るということは、自分にとって生きる一つの目標なんです。誰かが笑ってくれることがあるんだったら、1個笑顔が増えてるってことじゃないですか。

©深野未季/文藝春秋

エイベックスに入ったからこそ、やりたいこと

――今後やりたいことはありますか。

矢神 私の中で1個、やっぱり絶対これはやろうっていうことがあって。「東京オカ卍会」で、かわいいプロモーションビデオを撮って、近日中に公開できる予定なのでお楽しみに!

――東京オカ卍会???

矢神 飲み会から発生したクレイジーな自称オカマの集団です。有名漫画から一部拝借して命名してます。ふざけてますよね。

 トランスジェンダーの中に「オカマって言わないでほしい」という方がいるのは当然わかっています。でも私みたいにもう好きに呼んでくれ、堅苦しい発言、主張はより分断を招きかねないし楽しくいこうぜ! と考える当事者もいるんです。

 東京オカ卍会では、ラブ・ドリーム・酒飲みの集団で、ただただハッピーにお酒を飲んでます。それだけです。せっかくエイベックスに入りましたし、私もいろんなところでお金を稼いで、そのお金でPVを沢山作って東京オカ卍会の楽しさを共有できたらなって思います。

 最近は男性といるよりも東京オカ卍会の仲間と一緒にいる方が楽しくて。もう刺激中毒なんで、恋愛よりも東京オカ卍会で刺激を受けている方が楽しくて。

©深野未季/文藝春秋

――経営者としての目標はどうですか。

矢神 私みたいな子たちが稼げる職場を一つでも増やしたいという思いはありますね。そういう職場って実はあんまりなくて、守りたいし、増やしたいなとは思ってます。昼の世界でも少しずつ雇用が広がっているけれど、選択肢として夜の世界も一つでも増えたらいいよねって、そういうのを守る一翼を担っていきたいと思ってます。

次の記事に続く 「私は女の子として生きられないんだ」容姿いじめを乗り越え「2000万円超の整形と二度の性別適合手術」を経て“パリコレ出演”を果たしたトランスジェンダーモデル(33)の劇的人生

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。