お父さんがめちゃくちゃ厳しかった
阿川 井上選手の場合は、どうやってそこを鍛えたんですか?
井上 家庭環境ですね(笑)。
阿川 お父さんが怖すぎるとか?(笑)
井上 そうです(笑)。めちゃくちゃ厳しかったので、メンタルが鍛えられました。元々は父親が大人になってからボクシングジムに通い始めてトレーニングしていて、それを見て憧れて、「僕もやりたい」と言って、父に習う形でボクシングを始めたんですね。すると、父ではあるけど、トレーナーでもあって、その父が家にいると落ち着かないというか、もっと練習しなきゃいけないとは、小さな頃から思ってました。
阿川 ボクシングを始めたのは6歳のときですよね?
井上 そうです。父も息子が打たれるのを見たくないというのがあって、ディフェンス重視で教わったんです。ひたすらステップワークをしながら、父が出したパンチに対してよけるというのを徹底的に身体にしみ込ませて。
阿川 ジャッキー・チェンみたい。
井上 ジャッキー・チェンは僕もよく観ていました(笑)。パンチをもらうと父に怒られるので、ひたすらよけることを学びました。
阿川 プロになってからのほとんどの試合を映像で拝見しましたが、顔から血が出たりしたことは一度もないですよね? それは子どもの頃からディフェンスを鍛え抜いた成果ですか?
井上 大きいと思います。
阿川 ホントにボクサーとは思えない顔の綺麗さだもん(笑)。ここまでダウンもしたことがない、血も流した経験がないと、逆に怖いってことはないですか?
井上 ダウンに関しては、経験をしてよくなる選手と、恐怖心がついちゃう選手の2通りあるんですよ。
阿川 あ、トラウマになっちゃう。
井上 逆に打たれ弱くなっちゃう選手もいますね。自分がどうなるかはわからないんですけれども。
阿川 そりゃ、ダウンの経験がないから、分かるわけないか(笑)。6歳でボクシングを始めて、それからは?
井上 小学6年生のときに初めて大会に出場するんです。そこからスタートして高校3年生までアマチュアボクシングをやってました。
阿川 アマチュアボクシングでも全国優勝したりと見事な実績を残してらっしゃる。自分は強いという自覚はいつ頃からありましたか?
井上 強いと思ったことはなかったですね。というのも父から、「始めたのが早いから勝ってるだけ」とよく言われていたので。当時はジュニアボクシングは盛んではなく、6歳で始めたというのは相当早いほうだったんです。
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