2022年5月2日、BTSが所属するアイドル事務所HYBE(旧Big Hit Entertainment)から、6人組ガールズグループLE SSERAFIM(ル セラフィム)が華々しくデビューした。
メンバーには、日本でも話題となったオーディション番組『PRODUCE 48』で結成された期間限定グループIZ*ONEの元メンバーである宮脇咲良やキム・チェウォンがいる。すでに著名なメンバーが集まったグループだったこともあり、デビュー後わずか12日でSpotify月間リスナー数200万人を突破し、世間を賑わせた。
しかし、大きな話題を集めたグループの活動は、早速出鼻をくじかれたようだ。
浮上した「イジメ」疑惑
デビュー早々、LE SSERAFIMはなぜ暗雲に包まれたのか。その理由には、20年以上にもわたって問題視されてきた、韓国社会の深刻な課題が関係していた。
批判されているのは、LE SSERAFIMメンバー、キム・ガラム(16歳)の「学暴」疑惑だ。2022年5月19日、中学時代にキム・ガラムから「学暴」を受けたと主張する被害者A氏が弁護士法人を通じて「キム・ガラム学暴疑惑関連被害者立場文」を発表。これが多くのメディアに取り上げられ炎上に至った。
そもそも「学暴」とは何か。「学校暴力」の略であり、学生を対象に発生した傷害、暴行、恐喝、強要、侮辱、いじめなどの行為を総じて指す。韓国のKDI経済情報センターの資料では、学校暴力は、「暴言」、「集団によるいじめ」、「サイバーブリング(インターネット上でのいじめ)」の順に多いと報告されている。
1990年代以降、韓国における学内いじめが社会問題として認識され、1995年に初めて政府による「学校暴力の予防・根絶対策」が講じられた。それまで「少年犯罪」という視点で捉えられていたいじめを改めて「学校暴力」と位置づけ、以降、韓国は未成年の間で起きる「学暴」を厳しく取り締まってきた。
過去には韓国ドラマ『月が浮かぶ川』でダブル主演のうちの一人だった俳優ジスに対する校内暴力疑惑が浮上し、途中降板となった事例もある。俳優ジスが過去の罪を認めて謝罪したものの、制作会社Victory Contentsはジスの所属事務所キーイーストに30億ウォン(約3億円)台の損害賠償請求訴訟を起こしたことが広く報じられた。