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ホームで「出発進行!」と号令をかけて…は意外にやらない

 駅員さんのお仕事は、もちろん始発から終電まで。なので、基本的に彼らの勤務体系は24時間。朝出勤して、翌日の朝に退勤するというサイクルで働いている。となると、そんな彼らのトップたる管区長さんも、同じように24時間勤務ということ?

「いえ、管区長は基本的に日勤なんです。私はだいたい朝の7時半ごろに本川越駅に出勤して、前日の退勤後にあったトラブルなどを確認。8時半からその日の勤務開始となる駅係員の点呼に立ち会います。退勤は、だいたい16時すぎになりますね。日中は会議に出席したり、時間を見つけて管区内の駅を巡回したりしています」(今成さん)

 駅長さん、管区長さんというと、なんとなく駅のホームで「出発進行!」などとやっているイメージがあるが、実際はそういう業務をよりも、むしろ駅の“顔役”として地域の人たちとの会合に出席するような業務も多いようだ。

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 たとえば本川越駅には、西武新宿線の駅に加えて商業施設のPePe、プリンスホテルといった西武グループの施設がまとまっている。それぞれの“トップ”が集まって話し合い、川越エリアの魅力を高めるために共同で行う施策などを検討するのも、管区長の仕事のひとつなのだ。

「また、川越には当社の駅の他に、JRさんの川越駅や東武鉄道さんの川越駅、川越市駅がありますので、その打ちあわせなども」(今成さん)

 そんな話を聞くと、どうしても質問したくなってしまうのがJRや東武との関係だ。何しろ、観光地・川越にとっては都心部からの観光客輸送においては紛れもなくライバル関係のはず。やっぱりピリピリしているんですか……。

「いえいえ、良好ですよ(笑)。川越市内の地域の方々と協力して川越をどうやって盛り上げ、多くのお客さまに足を運んでいただこうかという話もそうですし、コロナ禍による利用者の減少や安全輸送を実現させるための教育など、鉄道会社として共通して課題に感じていることも多い。ウチはこういうやり方をしているとか、そういう情報交換はとても勉強になるんです。

 ここ数年はなかなかできていませんが、JRさんや東武さんと一緒にお子さま向けのイベントを企画したりもしています。今年はなんとかできればいいんですけどね」(今成さん)

 

「ひとつの駅だけ」に留まらない仕事の範囲

 さらに管区長の大きな仕事のひとつに、管区内の各駅の巡回と部下の教育があるという。今成さんは、時間を見つけては管区内7つの駅を回っている。

「本川越駅管区で7駅、89人の職員がいつも一緒にいられるわけではありません。ですから、管区内をできるだけ回って職員ひとりひとりとなるべく話をするようにしています。

 ただ、7駅すべて回ると半日仕事になるんですよね。なかなかその時間は取れないので、2時間でも空いたら数駅は回って。それぞれの駅で職員と話をしたり、頼まれごとをしたり。雑用も頼まれたら積極的にやるようにしています(笑)。

 あとは、立場上お客さまと接する機会が少ないので、巡回時などにお客さまとお話しするのは楽しみですね」(今成さん)