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 西武鉄道の場合、管区のトップは今成さんのような管区長。管区全体の運営方針を定めてマネジメントを行う責任者だ。

 次いでNo.2が副管区長。管区長が定めた管区の方針に基づいて、駅員ひとりひとりの接遇レベルや知識を向上させるための施策を実行していくのが、副管区長の仕事になる。

 管区長・副管区長の下に位置し、事実上現場の指揮を取るのが助役という役割だ。本川越駅管区では89人の職員のうち、助役は9人。本川越駅に加えて規模の大きな新所沢駅・狭山市駅にも助役が常駐している。

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 管区長・副管区長に泊まり勤務はないが、助役は泊まり勤務も行う。管区長・副管区長のいない夜間などは助役が当務駅長として責任者を務める。終電間際にやっかいなお客が「駅長を出せ!」などとすごんだ場合、出てくるのは助役、というわけだ。 

「夜の池袋駅はほんとうにいろいろあって…」

 そして、今成さんは管区長に就任する以前、助役と副管区長を務めた経験もある。2013~2014年度にかけては池袋駅管区の助役、2021年度には本川越駅管区の副管区長だ。

「2013~2014年度にかけて、池袋駅管区で助役をしていました。当時はもちろんコロナ前ですから、夜の池袋駅はほんとうにいろいろあって。年末年始とか3・4月の歓送迎会シーズンは、夜になると“いよいよはじまるぞ”となんだか血が騒ぎましたね(笑)。いろんなお客さまがいて、だからいろんなことが起こる。池袋という駅の大きさを実感しました」(今成さん)

 

じつは“西武鉄道女性初”だった今成さん

 実は、助役も副管区長も、そしていまの管区長も、西武鉄道では今成さんが“女性初”。総合職などに女性の採用がはじまって2年目の入社で、いわばパイオニアとして道を切り開いてきたのだ。

「この会社で仕事をし続けるのであれば自分で道を切り開いていく立場なんだろう、という覚悟はありました。

 ただ、むしろ私よりも職場の皆さんがどう指導していけばいいのか戸惑っていたところがあったかもしれません。現場にはほとんど女性がいない時代でしたから。なので、『男性だから、女性だからではなく、ひとりの駅係員として仕事をするわけですから、皆さんと同じように厳しく指導してください』と言いました」(今成さん)

 2007年度に入社した今成さんは、所沢駅管区の駅係員としてキャリアをスタート。その後、車掌業務などの現場経験を積んだのちに本社の運輸部や親会社である西武ホールディングスへの出向を経験し、2022年度から現在の本川越駅管区長に就任した。その間には、産休・育休も経験している。