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築60年でも7億円で売れて…〈一見普通に見えるのに…〉時代を変えた伝説のマンションとは?

伝説マンションBEST45 第1回・1950年代「黎明期」編

2022/06/24
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5 東古市場住宅(1956年/神奈川県住宅供給公社)

 野毛山団地が「公団(国)が供給した第一号物件」だとすると、「東古市場住宅」(川崎市幸区東古市場)は「公社(主に県や自治体の組織)」が供給した第一号ということになる(1954年の宮益坂ビルディングは、公社ではなく東京都本体が直接分譲した物件)。

東古市場住宅(2011年3月撮影)

 川崎市幸区に供給されたマンションだが、川崎市は賃貸マンションや社宅として供給されたマンションを含めても歴史ある地で、1955年に「武蔵小杉不燃アパート」が、企業が社宅として一括買い取りする、一般的な「分譲」ではない形で供給されている。これらを見ても、いかに川崎市が黎明期よりマンション立地として重要視されていたのかがわかる。

東古市場住宅間取り

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 分譲時の情報は不明であるが、1999年まで売り事例が出ており、その時は1280万円(40.69㎡)となっていた。その後建て替えとなっていて、このマンションも現存しない。写真からは単棟3階建て全24戸の典型的な「二戸一団地」(外階段の各階層に左右二戸配置する団地のスタイル)であったことがわかる。