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「元・億ション」に「もはや街」…高度経済成長期にできたレジェンドマンションの今〈築40年以上経っても4000万円で売れる理由〉

「元・億ション」に「もはや街」…高度経済成長期にできたレジェンドマンションの今〈築40年以上経っても4000万円で売れる理由〉

伝説マンションBEST45 第4回・1970年代「民間団地」編

2022/06/25
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27 サンシティ(1977~1980年/三井不動産、旭化成工業、三旭都市開発)

「サンシティ」(板橋区中台)は民間団地の代名詞的存在の物件だ。14棟1872戸に及ぶ大規模団地である。都営三田線「志村三丁目」から徒歩圏内と言うこともあり、利便性が高いため、現在も人気で、現在は築40年を超えたが4000~5000万円の価格帯で流通している。

サンシティN棟(2018年1月撮影)

 このマンションがしばしば話題になるのは、成熟した「コミュニティ」が形成されていることだ。すでにその存在は居住者の生活に深く入り込み、「管理組合」よりも「町内会」に近い。団地と言うより、マンションが「街を形成している」という感覚に近い。

サンシティ分譲区画
サンシティ第1号分譲の代表的な間取り

 民間団地の分野では1960年代後半から70年代後半までは空白期間で、ほとんど供給されていない。列島改造ブームの反動による不況とオイルショックが重なり、大型のプロジェクトがやりにくい時代であった。

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 分譲のスタート時には2000万円程度であった価格が現在も3000万円前後になっているというのも単に立地の優位性だけでなく、「サンシティ」独自のネームバリュー、三井不動産物件であるというブランド力に加えて、街としての成熟度が大きく作用している結果である。単に民間団地という枠を超えた、大型プロジェクトの成功例であると思う。

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