28 志木ニュータウン(1980年/鹿島建設)
「サンシティ」と並び民間団地の代表的作品が「志木ニュータウン」(志木市館)である。民間団地としては最大級の規模を誇り、総棟数71棟、総分譲戸数3276戸に達する巨大団地プロジェクトである。公団・公社の団地で2位となっている「野庭団地」の2831戸を優に超えており、「若葉台団地」に次いで2位の大規模団地である。
スーパーゼネコン鹿島建設の分譲・施工による完全単独プロジェクトである。1971年から計画がスタートし、最初の分譲「南の森壱番街」は1978年に開始された。南の森、東の森、中央の森の3区画からなるが、1995年には「ガーデンプラザ」という区画の分譲も見られる。ほとんどは1979年から1987年に分譲されている。
現在の最寄り駅は東武東上線「柳瀬川」であるが、最初の分譲時には同駅は計画段階で開業前であった。そのため最寄り駅は「志木」となっている。
17年に及ぶ長期プロジェクトだけに、最初の竣工物件である「南の森壱番街」10号棟と11号棟は、5階建ての「にこいち」スタイルでエレベーターはない。1988年には、本ニュータウン唯一のタワー棟、中央の森の「ガーデンタワー」(20階建て)が竣工している。
間取りもバリエーションに富んでおり、3LDKから5LDKまで存在する。このタワー棟は分譲時には5000万円前後であったが当時はバブルで価格が異常に高騰した時期であった。そのためかなりの割安感があったと考えられる。
一部で「億ション」が存在したとの記述があるが、当社の調べでは中古時の最高流通価格は117.24㎡の住戸で9980万円となっており、正確に言うと「億ション」とはなっていない。現在タワー棟では上層階では4200万円程度の価格で流通する。