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それは過去との決別であり、もう一度、世界で戦うアスリートの矜持を取り戻すための決断でもあった。瀬戸本人もこう語っている。
「きっと、東京五輪前だったら加藤先生の練習には耐えられなくて、逃げていたと思います。でも今は違う。パリ五輪に向けて、後悔のないようにやれることをすべてやり遂げたい」
プロへの転向でまさに背水の陣
昨年10月には日本水泳連盟から肖像権の使用禁止に対する除外認定を受け、事実上のプロアスリートとなった。東京五輪後の“凪”のタイミングでは異例の決断とも言える。
「今まで受けていた水泳連盟からの援助はなくなり、遠征費や合宿費などもすべて自分でまかなわなければならない。つまり、大会の獲得賞金やスポンサーからの援助など、アスリートとして結果と存在価値を見せ続けなければ、そもそも選手としての活動ができないという状況になった。スキャンダルの影響でスポンサーがつきにくい状況の瀬戸にとっては、まさに背水の陣です」(前出・競泳関係者)
鬼のようなトレーニングが待ち受ける、まさに虎の穴とも言える加藤氏に師事したこと、そしてプロへの転向。自分から逃げ道を塞ぎ、前を向かざるを得ない状況を作り出した。
背水の陣に身を置いた「五輪で最も注目を集めた男」瀬戸大也。
日本時間の6月17日深夜からは、ハンガリーのブダペストで世界水泳が開幕する。瀬戸も400mと200mの2つの個人メドレー種目にエントリーしている。真価が問われる400m個人メドレーの決勝は、大会2日目の19日に予定されている。