——囲碁で身につけた習慣が生活の中で出ることは他にもありますか?
愛咲美 私もなんですけど、ぼーっとする時間が長い人は多い気がします。頭の中で試合や詰碁について考えているうちに、他のことが頭から消えていくというか。日本棋院でも明らかにぼーっとした顔で歩いてる人を見かけるし、階段から落ちそうになってる人もよくいるかも。
梨紗 私も試合で負けた後は負けた理由を考えこんじゃって、頭がいっぱいになることが多いですね。
愛咲美 梨紗は小さい頃に、2回も電車の隙間に落ちそうになってるんですよ。
梨紗 でもあれは囲碁のことを考えてたわけじゃなくて、単にぼーっとしてただけかも(笑)。
愛咲美 あとは改札を通るときに、パスケースをつい碁石みたいに持っちゃいます。これはたぶん棋士あるあるだと思います。
梨紗 私も消しゴムは碁石と同じ持ち方。あとは夢の中にも囲碁が出てくるっていう話はよく聞くかも。
梨紗「私はゲンとかはあんまり信じていないので」
愛咲美 私は最近試合で負ける夢ばかり見るんですよね。今日も、今やっている新人王戦トーナメントで負ける夢を見ました。夢の中で「誰に負けたんだろう」とずっと考えてて、起きてもそれが現実かどうかしばらくわからなくて。「夢か! 負けてなかったんだ」って気づいた時はホッとしました。
——夢って妙なリアリティがあったりしますよね……。ちなみにお2人は試合前のゲン担ぎみたいなものはあるんですか?
愛咲美 私は対局前に縄跳びを777回跳ぶというのを3~4年くらい続けています。1000回だと疲れすぎるし、500回だとちょっと足りないので、縁起も込めて777回。対局日の服も紺のワンピースに白い上着が“勝負服”。あとハンバーグを食べた日は勝率が良いので、1週間に1回くらい母に作ってもらいます。結構ゲンは担ぐ方かもしれませんね。
梨紗 私はゲンとかはあんまり信じていないので、服もその日着たい服ですし、ご飯も食べたいものを食べる。あとは現実的にランニングして体力をつけています。朝8時に起きて、家の周りを2~3キロジョギングして、10時からの研究会に備えるのが私の“モーニングルーティーン”です。