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療養生活を経て飛び込んだ“テキ屋の世界”

――現職のヤクザとわたりあっているヤクザ博士のイメージと少しギャップがあります。

廣末氏 政治の世界は独特ですよ(苦笑)。秘書職を辞職し、3、4カ月寝たきりになってしまいました。本当に思い出したくないほどつらい日々でした。夕方になると心臓がドキドキして、もう本当に何もできなくなってしまう。婚約していたフィアンセとも破談になってしまいました。

 福岡で療養して、落ち着いてくる頃には貯金も底をつき、求人誌を手に取った。そこで光って見えたのが「B級グルメの匠になりませんか」という筥崎宮でのテキ屋募集でした。永田町時代に比べて収入は大きく落ちましたが、外での仕事は気持ちいいですね。イカに始まり、焼き鳥、焼きそば、じゃがバターなどを作りました。

――先日、浅草寺のテキ屋を回っていたとき、じゃがバターを蒸す水について詳しかったのが印象的でした。

廣末氏 いまは、テキ屋の本を書いていて、テキ屋の人たちから話を聞いているんです。なかなか、研究テーマにする人はいないですが、日本の良き文化ですよね。さまざまな専門用語があっておもしろい。どこのテキ屋も、敷地の所有者や反社勢力との関係などさまざまな問題を抱えていますが、やはり縁日にテキ屋は欠かせませんよね。本当に好きな日本文化なんです。

 

 だから当時もテキ屋は楽しかったけど、これで一生食べていくわけにもいかない。そんな時に九州大学の友人から「君は暴力団の加入について研究したのだから、次は離脱の研究をしたらいいよ」とアドバイスをもらいました。そして、2014年度に公益財団法人の日工組社会安全研究財団の助成金をいただいて、離脱者についての研究を始めました。暴排条例でヤクザを辞めても5年間銀行口座がもてないことが、更生への大きな阻害になっていることなどを調べ、問題提起してきました。