昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

genre : ニュース, 社会

ユニークな執筆活動「組長の妻、はじめます。」

 

――その後、廣末さんにしか書けないような本を書かれています。「組長の娘 ヤクザの家に生まれて」(新潮文庫)、「組長の妻、はじめます。 女ギャング亜弓姐さんの超ワル人生懺悔録」(新潮社)、「ヤクザと介護 暴力団離脱者たちの研究」(角川新書)、「ヤクザの幹部をやめて、うどん店はじめました。 極道歴30年中本サンのカタギ修行奮闘記」(新潮社)など、ユニークなものばかりです。 

廣末氏 研究や執筆のほかにも、2018年から2年間、福岡の名門「麻生グループ」が法務省から受託した福岡県更生保護就労支援事業所の所長を務めました。刑務所から出た人の就職支援をするのですが、そこではスタッフが一丸となって頑張り、全国2位の就職率も出せました。元ヤクザの就労の厳しい実態を調べるだけでなく、それを解決する仕事はしんどかったですがやりがいがありました。

――元ヤクザや元犯罪者の就労では、離職率の高さも問題になりますよね。

 

廣末氏 そうなんです。だからまずは3カ月続けよう、とアドバイスしていました。多くのサラリーマンは一度就職したら定年まで、と思っていますが、それだとハードルが高すぎます。だからまずは3カ月と。そして、3カ月仕事が続いた人は本人の同意を得た上で表彰しました。元ヤクザに限らず、刑務所を出た人は家庭環境がよくなく、表彰される経験なんてない。自己肯定感が低いからまずそこを上げないと。

 仕事なんて辞めたくなったら辞めればいいのですが、すぐに向いていないと匙をなげるように辞めるのではなく、自分への向き不向きをちゃんと見極めないと。

――たくさんの仕事を経験してきた廣末さんだからこそ説得力がありますね。

廣末氏 本当に。いろいろな現場を見られたことが、いまの就労支援に繋がっています。いい経験も悪い経験も“経験”には変わりない。いや、本当に社会経験とはありがたいものです……。

 

 30以上の仕事をしてきましたが、たったひとつを除いて3カ月以上は続けているんですよ。ただ、唯一続かなかったのはCADオペレーター。仕事を教えてくれると言われてはじめたのに何も教えてもらえず一日で辞めました(笑)。なので本当に向いていないことは無理してやる必要はないんですが、まずはしっかりと向き合うことが大切です。

――これだけヤクザ離脱者の研究をしたり、更生に取り組んだりしてもやはり常勤採用はされないんですね。現在も現職ヤクザとの付き合いはあるのですか。

廣末氏 調査対象者、協力者としてはあります。もちろん何かの不正に関わっているわけではなく、研究者として一線をひいた付き合いです。それに、これまでお世話になってきて、いきなり就職したいからといって「さようなら」なんていう不義理はできませんよ。教育機関に常勤採用はされなくとも、スポットの講義や自治体などでの講演などの仕事は増えています。実際に裏社会で起きていることは多くの人の生活にかかわりますからね。私が直接見聞きした話をしています。