K-POPアイドルを疲弊させる新曲発表(カムバック)
そもそもグループは、プロダクションが自社で抱える練習生から選抜して組み上げられる。それはあくまでも会社のプロダクト(商品)であり、韓国でも日本でもほとんどのグループはプロダクションが商標登録をしている。BTSも例外ではない。ロックバンドと決定的に異なるのは、このグループの成立過程にある。
そして、K-POPでは激しい競争が続いている。グループは短いスパンで作品をリリースし、新曲発表(カムバック)の際は約1か月間働き詰めになる。韓国の音楽産業は、2010年から2020年の10年間に国内は2倍、輸出額は8倍と右肩上がりの成長を続けてきたが、それは過剰とも言えるスケジュールをアイドルたちに課した結果でもある。
ハードスケジュールが課せられるのは、プロダクションとメンバーの契約期間が最長7年だからだ。過去にK-POPでは「奴隷契約」とも呼ばれた長期契約が問題化したこともあり、2009年に公正取引委員会によって契約期間は最長7年とされた。このため、プロダクションは育成費などの投資をデビューから7年で最大化しようとする。たとえヒットしても、多くの場合にデビューから5~7年でメンバーの脱退や解散が目立つのも、背後にこのルールがあるためだ(BTSのようにメンバー全員が契約を更新して7年以上続くグループもある)。
厳しい競争による過密スケジュールの反動は、やはりメンバーたちのコンディションに顕れる。活動休止をするメンバーは少なくなく、うつ病やパニック障害を告白するケースも珍しくない。
RMが一石を投じたのは、こうしたプロダクション主導のK-POPグループのシステムや、それによって生じる過密スケジュールでメンバーが疲弊していく構造的問題だと捉えられる。
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