地下アイドル業界の最大手事務所として知られ、全国主要都市に支部を展開する「FreeK-Laboratory(フリークラボラトリー、以下フリーク)」。その社長を務める小口馨氏が、自社の未成年アイドルに対して、一方的な契約書・誓約書にサインをさせたうえで、100万円を超える金銭を請求していたことが文春オンラインの取材でわかった。
憔悴した表情で保護者を伴って取材に応じたのは、同事務所の人気アイドルグループ「ネコプラ」に所属していた小咲ののさん(16)。 小咲さんは2021年5月に大阪のアイドルグループ「#PANnana」で活動を開始し、2022年1月からは「ネコプラ」のメンバーとして東京で活動するようになった。
しかし、アイドルの世界は小咲さんの想像以上に過酷だった――。(#1の続き)
「自分は早稲田大学の法学部をでているから法律には詳しい」
2022年1月4日に地元の京都を離れ、東京で一人暮らしをはじめた小咲さんは1月9日に「ネコプラ」の新メンバーとしてステージに立った。だが、過密スケジュールの活動で再び体調を崩すまでに、時間はかからなかった。
「30曲以上ある『ネコプラ』の曲の振り付けを約1カ月で覚えるように言われたのですが、とても覚えられる量ではありませんでした。レッスンでなかなか踊れるようにならない私に社長は激怒して『何でお前はそんなに覚えが遅いんだ』『お前を引き抜いた僕の顔を潰さないでくれ』『何なら減給してもいいんだぞ』とすごむんです。私の力不足もあったのですが頑張っても覚えられず、ハードスケジュールで体がもちませんでした」
小咲さんが東京で「ネコプラ」メンバーとして活動を始めてから、京都にいる母親も娘の状況を心配していた。小咲さんの母親は当時の惨状をこう説明する。
「娘の2月の休みは1日だけでした。LINEで連絡を取っていましたが、娘は明らかに精神的に参っている様子でした。小口社長にも休養の相談をしたのですが、聞く耳をもってもらえず、『自分は早稲田大学の法学部をでているから法律には詳しい』とこちらを責めるような雰囲気でした。2月に娘が40度の熱を出したときもPCR検査をなかなか受けさせてもらえず、抗原検査で陰性になると、熱は下がっていないのにステージに出されたこともありました。事務所に対して、どんどん不信感が募っていきました」