1ページ目から読む
3/4ページ目

英治 そうですね。若い頃はどんどん家族が増えていったけど、今はどんどん出ていく一方で。でも、子どもが巣立っていくのは嬉しいですよ。孫も増えたりして。信ちゃんとの生活もとっても楽しいです。

――結婚当初から大家族を夢見ていたのでしょうか。

信子 特に何人欲しいとかはなかったですね。授かったら大切に育てようとだけ決めていたら、ありがたいことにたくさん生まれてきてくれて。私は2人きょうだい、主人は4人きょうだいで、自分たちに特別多いわけでもないんですよ。

ADVERTISEMENT

目の前で起こっていることや子どもの気持ちを考える子育てを

――最初は子育てに不安がありましたか。

信子 初めて妊娠した時は、「初めての妊娠と出産」という本やそのほかの参考書を買ってきて読みました。だけど、いろんな情報を見れば見るほど混乱してしまって。例えば、赤ちゃんとは添い寝をした方がいいと書いてある本もあれば、しないほうがいいと書いてある本もあって。180度違ったことが書いてあると、何が正しいのかわからないですよね。

お腹の赤ちゃんについて子どもたちに説明する信子さん 映画『人生ドライブ』より © 2022 KKT 熊本県民テレビ

 でも、その頃にちょうど飼っていた犬がお産したんです。犬は何も教えられていないのに生まれた子犬をペロペロ舐めて、一生懸命に子育てしていて。その時に、「本能のままに子育てするのがいいのかもしれない」と思って、それからは本も読みつつ、自分の正直な気持ちに耳を傾けて子育てしようと決意しました。

――自分の本能のままに子育てをしようと。

信子 でも、子どもがミルクを飲まなかったり、離乳食を食べなかったりするとすごく落ち込んでしまうんですよね。飲んでくれないとちゃんと育たないと思って、どうにかして方法を考えていたんですけど、その時に夫が「飲みたくないんじゃないの?」って言ったんです。目から鱗でした。

 3時間ごとに授乳をしなければいけないって思い込んでいたんですけど、夫のその一言で、私は子どもをロボットのように考えて接していたことに気づいて。

 大人でも飲みたい時、飲みたくない時、お腹が空いていても食べたくない時がありますよね。生まれたばかりの赤ちゃんにも自分の意思があって、飲みたくない時があるってことに初めて気づいて。その時に、目の前で起こっていることや子どもの気持ちをちゃんと考えようって思いましたね。