白血病の五男が「俺が死んだ時のために、映像を残しておいた方が」と…熊本の岸大家族が語る、密着取材の裏側〈12人大家族〉

白血病を患った五男が「映像を残していた方がいい」

――五男の日向さんが白血病を患った時は、日向さんから取材のお願いがあったと聞きました。

信子　日向が白血病を患って、入院することが決まったんですが、入院日がちょうど誕生日だったので、前日に「誕生日会」を開く予定で。そしたら日向が「お母さん（もし俺が死んだ時に）映像がいっぱい残ってた方が嬉しいでしょ？　城戸さんに連絡していいよ！」って言ったんです。今は笑い話ですけど、当時は医者から「生死は五分五分」と言われていたので、城戸さんに連絡はしたものの、複雑な心境でした。

英治　親としてはそんな時までカメラを回すのはどうなのかなって悩んだんですけど、子どもがそう言うならと思って連絡しました。城戸さんたちなら、ちゃんと映像に収めてくれるっていう信頼関係ができているんですよね。それもまた21年も続いている理由だと思います。

信子　おかげさまで、今は日向の病状も落ち着き、職場復帰も果たしています。あの日撮っていただいた映像は、我が家の大切な記録になりました。

子供たちの成長や巣立ち、そして熊本地震も

――21年撮り続けてきた映像が一つの映画になっているのは、なかなかないですよね。改めて映画「人生ドライブ」について思うことがあればお聞きしたいです。

城戸　見ていただいた人から「家族に会いたくなった」「人に感謝を伝えたくなった」など、心温まる感想をいただいています。21年間、何の台本もなくそばでカメラを回して撮ってきた映像です。信子さんの金言や家族の温かさ、夫婦の愛情がたくさん詰まったドキュメンタリー。ぜひ劇場に足を運んでいただけたら幸いです。

信子　熊本県民テレビさんには末っ子の不動を妊娠する前から密着していただいています。赤ちゃんだった不動が20歳になるまで、映画では子どもたちの成長や巣立ち、そして熊本地震など21年の間、私たち家族に起きたことが記録されています。知らないどこかの家族の日常は、いろんなことがあって面白いなと思っていただけたら嬉しいです。

英治　僕は目の前のことをずっと一生懸命やってきたら、いつの間にか家族が増えて、今じゃ孫もたくさんいて、笑顔で信ちゃんとも暮らせているんです。特別なことは何もしていないけど、何が起きても諦めずに前を向いて歩いてきました。まさに“人生ドライブ”のような21年間ですが、ぜひ見ていただけたらと思います。

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