すごく好きだったドラえもんが「アレ」を食べているシーン
麻生 漫画を読んでいると、料理の描写が現実的に描かれているので、作者であるよしながさんは、ご自身でも料理をされる方だなと感じていました。
よしなが 料理のプロに読んでいただくことが、すごく恥ずかしくはありますが、その素人感もよしだろうと。
麻生 鶏肉のオーブン焼きに焼き肉のたれを使うとか、トマト缶を使ったあとに、その缶に水を入れてゆすぐように鍋に加えるとか、実際にやっていないと出てこない発想ですよね。
よしなが 本当に食べるのが好きなだけです。子供のころからとにかく、ドラえもんがどら焼きを食べているシーンがすごく好きで。昔の漫画って、必ず主人公に好物があって、美味しそうに食べるんですよ。『銀河鉄道999』なんて、ラーメンを食べるシーンを見たいがために読んでいたところがあって。だから『きのう何食べた?』も、ただ自分の好きなものを描いている感覚です。
麻生 毎日、ものすごくお忙しいと思いますが、仕事と料理と、どう両立されているんですか?
よしなが ネームを切る(コマ割りやセリフを決める)など自分ひとりの作業のときは、ダイニングテーブルで料理をしながら、ということはありますね。
麻生 たとえば、煮物を炊きながら漫画を描いたり、ということですか?
よしなが 時間のかかる料理など、そういうときもあります。
200円以上の大根は気持ち的に買えない
麻生 どんなスケジュールで1日を過ごしておられるんですか?
よしなが 家事は午前中にだいたい済ませてしまいます。料理はやれることは全部やっておく。といっても、夕飯の準備のみで、朝はそれぞれが簡単に用意して食べて、昼はそれぞれがそれぞれの場所で食べているので、それほど時間をかけていません。フルに作って1時間半くらいですね。
麻生 1週間分の献立を決めておくと聞きました。
よしなが 土日のどちらかに、1週間分の買い物に行きます。“緑黄色野菜1週間分”はたとえば、ブロッコリー1個、ほうれん草2把、それにピーマン2袋、オクラ1パック......と、経験値からだいたいの把握ができています。あとはキャベツや大根で、どちらも150円以下なら買うけど、198円だったらもう買わない、という感覚はありますね。
麻生 1週間の食費の上限を決めておられるんですか?
よしなが はっきり決めてはいないですが、200円以上の大根は気持ち的に買えないんですよ。なので、その値段感覚で買っていると、基本的に理想の範囲を超えないですね。
麻生 大人気漫画家でいらっしゃるのに、とても堅実で素晴らしいです。
よしなが 習い性です(笑)。ただ、なくなってくると不安な野菜ってあるじゃないですか。だから、玉ねぎは高くても買っています。すべてが高い時期は、もやしや豆苗を買うなどして調整します。そうやって、買ってきたもので献立は考えますね。麻生さんは?