和食は母が作ってくれないので「私が作るからさ」
よしなが 家庭料理って、その家族の好みで作られていきますよね。うちも、父は父でいろんなことを言いました。「ポテトサラダはすっぱくて嫌いだけど、スパゲッティーサラダは好き」と言われて、「あ、そう」みたいな。
麻生 でも、それがおもしろいですよね。
よしなが はい。各人員の意見も聞きつつ、予算の範囲内でそれなりに作って、食べ終わるんです。
麻生 それが各家庭の味になる。
よしなが 私は和食が好きなのに、母が作ってくれないので自分で作りました。母があまり好きじゃない白和えとか、ごま和えとか。
麻生 その料理はどうやって覚えられたんですか?
よしなが 中学や高校のとき、家庭科で。家庭科はすごく役に立ちました。茶碗蒸しも「面倒くさいわりにメインディッシュにならない」と母に反感を買いながらも、「いや、私が作るからさ」と言って、よく作っていましたね。
麻生 僕はおばあちゃんに習ったり、料理本を参考にしたり。
よしなが うちも、時代物の料理本を母がたくさん持っていました。まだ料理研究家がさほど個人名で注目されていなかった時代の“おかず365日”のようなものや、『家庭画報』の別冊パーティ料理とか。そういう本を、子供のころはよく読んでいました。今はこういう漫画を描いているので、「インスタで注目されているこの人がおもしろい」と教えてもらうことが増えて、どの本にも「ほほう」という発見が必ずありますね。
『きのう何食べた?』に登場する料理が食べたくなる
麻生 そういえば、ドラマでケンジが作ったみそラーメンがあまりに美味しそうで、翌日スーパーに行ったら、みそラーメンの棚だけが空っぽ。みんな同じ気持ちだったんだ、ひと足遅かったと、がっかりしたことがありました。
よしなが こちらとしては“しめしめ”です(笑)。味が想像できるもの、一度食べたことのあるもののほうが、どうしても食べたくなるんですね。
麻生 僕は6巻に出てくる水餃子にも心惹かれました。
よしなが 漫画の中でも史朗が語っていますが、あんなにコストが安いのにごちそう感がある料理って、ほかにないですよね。しかも、みんな好きですもんね。作るところからもう楽しい。うちは一度に100個くらい作ります。
麻生 餃子作りのこだわりを、ぜひお教えください。
よしなが 普通の餃子です。ヘラもないですし、だからパンパンに具を詰められなくて、スカスカの餃子。材料は白菜、にら、ねぎと豚ひき肉だけ。にんにく、しょうがは入れません。
麻生 わが家は、餃子を作ることはないんですが、一時期、シュウマイ作りにハマりました。