意外に簡単なシュウマイ作り
よしなが シュウマイ! すごく難しそうな気がするんですけど。
麻生 キュッと押し上げるようにして包むと崩れなくて、意外に簡単です。家で作るとふっくらジューシーに仕上がって、美味しいですよ。
よしなが 買ってきたものをチンすると、皮が乾いていますもんね。一度チャレンジしてみようかな。
麻生 豚ひき肉を、普通の豚肉を叩いて作ると、さらに味わいが増します。
よしなが 美味しそう! ご自宅で作る方は、すごくすすめてくるんですよ。「シュウマイ美味しいよ」って、友人にも言われました。90歳過ぎの祖母も「餃子は満州にいた人が持ち帰って伝えた戦後の食べ物だけど、戦前の中華料理といったら、シュウマイだったんだよ」って。
麻生 そうですよね。池波正太郎さんが著書の中ですすめているのも、たいていシュウマイです。
よしなが 『きのう何食べた?』にはシュウマイを登場させていないんですが、こんなに長く描いているんだから、1回くらい出してもいいかな。今、お話を聞いていても、とても美味しそうだなと思って。
中年世代にとっては料理も介護も“自分ごと”
麻生 漫画に、料理と男性カップルを組み合わせた理由はあるんですか?
よしなが BL(ボーイズラブ)の仕事も長くしてきて、もともとはBL雑誌で描く予定でした。一方、当時連載していた『大奥』がSF時代劇で、かなりシリアスでつらい展開だったので、もう1本を同時期に描くとしたら、自分の好きなものだけで構成したくて。それが、ごはんと中年のゲイカップルの話だったんです。
麻生 若者ではなく、中年だったんですね。
よしなが はい、現実的な問題を入れたかったからなんですが、編集の方いわく、「息抜きでBL雑誌を読んでいる主婦の方々もいるなかで、介護などの問題を取り上げるのは娯楽としてどうだろう」と。それはそれで説得力があって、いったんは引っ込めました。
麻生 僕は同世代だから、親や介護の問題にとても共感しました。
よしなが そう言っていただけると。でもそのときは、どこか別の媒体でできる日がきたら描こうと思って。そうしたら『モーニング』さんから「何かやりませんか?」とお話をいただいて、企画を通してくださったんです。でも、“島耕作”が掲載されている雑誌にこれを描くのか、と気後れして......ちょっとどうしようかと思いました(笑)。
麻生 読者層も変わりましたか?
よしなが 編集さんには最初に「だんなさんが買った『モーニング』を奥さまが読むことも多いから、青年誌風にタッチを変えず、女性向けのままでかまわない」と言われました。実際、年齢層的にはむしろマッチして、年老いた両親の話など、中年の方たちが自分ごととして読んでくださっているようです。
麻生 年齢的に、まさにそこですよね。
よしなが しかも、1巻が出たとき「料理を作りました」というお葉書をいただいて。「もうちょっとレシピをきちんと載せましょう」ということになりました。