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セクシャルな演技は感情を開放できるかが勝負

 いまやBLCDは、これからという期待の新人声優にとって、ブレイクのチャンスをつかむための登竜門的な位置づけにまでなっています。アニメだと新人は一言、二言しかセリフがないという場合がほとんどですが、BLCDだと何ページにもわたって先輩と渡り合えますから。そこでファンに気に入られて仕事が増えていき、スターダムをのし上がっていくこともできます。

 同時に、先輩とがっつり演技で絡むことで、いろいろと学ぶこともあるだろうと思います。僕自身、先ほどオーディオドラマでは共演者を1ミリ、2ミリ突っつくという話をしましたが、これは教育的な意味もあるんです。そこで良い反応を示した若手には「こいつは売れるだろうな」と感心することもありますし、実際に売れっ子になった人もたくさんいます。

 男性同士でのセクシャルな演技を難易度が高そうと思う人もいるようですが、僕は難易度というより、役者としての感情の開放論の問題だなと思います。役者は自分の感情を開放できないと土俵にも上がれません。しどろもどろでかしこまってしまえば、ただセリフを音声化しただけでつまらないものになってしまいます。

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 それでも度胸がある子だと、一つの作品を収録している間にも、何かのきっかけでガラッと変化することもあるんです。そういうときは「後半にエンジンがかかってきたので、前半をもう一度録り直そう」と提案しちゃいますね。

 ちなみに、色気を感じさせる演技をする秘訣は、色気を出そうとしないこと。セリフを自然に演じれば、色気が出るように台本が練られているんです。だから役者がやりすぎると、わざとらしく聞こえてしまい、むしろイヤな感じになってしまいがちです。これは水本完さんの教えに通じるものがありますね。