フランス人ジャーナリストの妻・カリンさんと2人の息子と暮らしている、漫画家のじゃんぽ~る西さん。2022年3月に上梓した著書『理想の父にはなれないけれど』では、男児2人の育児エピソードや、仲睦まじい家族の様子が描かれている。
しかし国際結婚をした妻とは、文化も価値観も異なるはずだ。そんな2人が日本で子育てをする際、“すれ違い”や“軋轢”は生まれなかったのか。
また、漫画家という比較的融通の効きやすい職業柄、メインで子育てをすることが多いというじゃんぽ~る西さん。男性の子育て環境が整っているとは言い難い日本に、彼は何を感じているのか――。(全2回の2回目/1回目から続く)
◆◆◆
長期休暇の間は祖父母の家へ 日本とフランスの文化の違い
――奥さまはフランス生まれフランス育ちのフランス人ですが、子育てをする中で“価値観の違い”を感じることはありますか?
じゃんぽ~る西さん(以下、じゃんぽ~る西) 日常生活で大きな違いを感じることはないのですが……例えばフランス人からすると、日本の“里帰り出産”は不思議な文化みたいです。「なんで出産のために実家に帰るの?」と妻が言っていました。
一方、フランスでは、長期休みの間に孫たちが祖父母の家に滞在する習慣があります。そんな時のために、子どもたちだけでも安全に移動できる電車のサービスがあるんです。
4~14歳の子どもが対象で、資格を持った付き添い人が子どもと一緒に電車に乗って到着駅まで同行します。付き添い人は、車内ではゲームなどで子どもの遊び相手もして、到着駅に迎えに来た祖父母に子どもを引き渡すんですよ。
――ではお子さんたちも、夏休みになったらフランスの奥さまのご実家に?
じゃんぽ~る西 いえ、今は新型コロナウイルスの影響で難しいですね……。お互いに動画や写真を送り合ったり、オンラインで話したりはよくしているんですけど、なかなか直接会いに行けません。
でも、これは“国際結婚で生じた文化の違い”というより、単純に祖父母との物理的な距離が遠いという悩みですね。日本国内でも、「実家との距離が遠くてなかなか孫の顔を見せに行けない」という悩みを持っている人はいますよね。それと同じです。
――日常生活で文化の違いを感じることはあまりない?