性別適合手術の費用は200万円
そういう感じで、最初の難関の両親へのカミングアウトをどうにか突破しました。
生まれて28年間、ずっと背負ってきた思いを打ち明けることができて、肩の荷が下りたような気がしました。
カミングアウト作戦を進める一方で、性別適合手術について調べを進めていくと驚くことが色々とわかりました。
性同一性障がい(GID=Gender Identity Disorder)の手術には、大まかに分けて2種類あります。まず、女性の身体から男性の身体に変えるFTM(Female to Male)。そして、男性の身体から女性の身体に変えるMTF(Male to Female)です。自分の場合はFTMで卵巣の摘出術、乳房の切除術を行うことになります。
性別適合手術は、どこでもできるというわけではなく、対応できる医療施設は限られます。多くは病院でしたが、クリニックもありました。
費用については、ある程度の相場というか、目安があるようでした。
自分の場合はFTM手術なわけですが、手術を行っている病院やクリニックに問い合わせてみたところ、どこで受けてもおおむね約200万円でした。
200万円というと国産の自動車が買えるくらいの金額ですね。若い世代の方だったら、なかなか用意できる金額ではないと思います。
性別適合手術に健康保険が適用されるのはレアケース
ちなみに男性から女性への性別適合手術は、女性から男性へのそれと比べると手術の工程が違ってくるので、さらに費用がかかる印象でした。
手術費が高いのは、健康保険が適用されないからです。
正確にいうと、性別適合手術にも健康保険が適用されるケースはあります。
それまで性別適合手術は保険外診療でしたが、法律が改正されて、2018年4月から一部の手術にも保険が適用されることになりました。
しかし、その条件がなかなか厳しいんです。
たとえば、手術は指定された病院(2022年2月の時点でわずか8軒)で受ける必要があります。手術の前後には、より男性らしい(MTF手術なら女性らしい)身体にするためにホルモン製剤を注射しますが、ホルモン注射をすると“混合診療”になるため、保険は適用されなくなります。
そうした厳しい条件があるため、保険が適用される性別適合手術は2021年の時点で年に数件程度と言われています。大部分は自分のように、すべて実費で行わなければならないのが現状なのです。
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