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「AV女優には芸がない。芸能人じゃない」と社長に言われ…元AV女優・小室友里(46)が語る、90年代AV業界の“厳しかった現実”

小室友里さんインタビュー #1

2022/07/29
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「えっ、疑似ってなんですか?」

ーー絡みの話が出ましたが、事務所に疑似撮影の存在を知らされていなかったことから、撮影には本番で臨んでいたそうですね。疑似の存在は、現場で知ったわけですか? 

小室 最初は知らなくて、作品2本目で疑似があるのを知りました。男優さんの“勃ち待ち”をしていたけど、どうしてもダメで。「じゃあ、疑似でいこうか」「えっ、疑似ってなんですか?」みたいな(笑)。 

ーー正直、「事務所にしてやられた!」という気持ちは? 

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小室 ありましたよ。ひどいなと思って、社長に「なんで教えてくれなかったんですか」って聞いたら、「疑似があるって言うと、みんなそっちを選ぶ。でも、そうすると女優さんとしての息が長くならないよ」って。そういう考えだったみたいです。 

ーー社長の考えには一理あったのでしょうか。たとえば、本番と疑似でギャラに違いがあったりだとか。 

小室 一理あるといえば、ありました。でも、ギャラに関しては影響なかったと思います。本番や疑似っていうところの価値じゃなくて、もうAVに出る出ないの価値だったと思うので。 

 

ーー疑似があるのを知りつつも、引退まで本番を貫いていますよね。 

小室 もう、本番ありの作品に出てしまっているので、いまさら疑似にしたところで変わらないだろうなと。「やっちゃったしな」っていう。 

 あと、「私はAV女優だから本番をするんだ」という変なプライドも正直ありました。誰かに教えられたり、言われたわけでもないんですけど。でも、それが自分のモチベーションにもなってた。「そこを受け入れてるのよ。そんな私はかっこいい」みたいなのを、自分に言い聞かせていたんだと思います。 

 本番をしている子は「私は本番までやってるのよ」と疑似しかやらない子を見下したり、疑似で貫いてる子は貫いている子で、「あんな本番なんかやっちゃってさ」ってそうじゃない子を見下してたり、そんな風にお互いを見ていたような気もしますね。 

写真=鈴木七絵/文藝春秋

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