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「AV女優には芸がない。芸能人じゃない」と社長に言われ…元AV女優・小室友里(46)が語る、90年代AV業界の“厳しかった現実”

小室友里さんインタビュー #1

2022/07/29
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事務所に入るのは300万円、本人に入るのは100万円

ーー小室さんは、ギャラなどへの不信感を持たずに仕事していた? 

小室 ギャラに関して言えば、私はそこまでAV女優としては稼いでいないです。96年の頭にデビューして、99年の9月9日で引退してるんですね。実質、3年半くらいの活動で得た全収入って3500万円くらい。年収にすると1000万ちょい。だから、そんな高くないんですよ。 

 今の稼いでいる女優さん、おそらくその何倍もいくので。それは作品だけではなくて、いろいろな収益モデルがあるから。 

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ーーちなみにデビュー作のギャラの額は。 

小室 私は、事務所に入ってくる金額は300万円って聞いてました。そのうち、100万円をおまえに渡すよって。 

 

ーー「残りの200万円はどうした?」とは思いませんでしたか。 

小室 それが、ちゃんと教えてくれたんです。移動費とか営業費とか、こういうのもギャラから使わせてもらってるんだよと教えられて。「出演料を抑えて長く続けた方がいい」ということも、デビュー前から言われていました。「ちょっとずつ下がっていくもんだけど、俺はなるべく長くお前が稼げるようにするからね。そこは任せてくれ」って。 

ーー1本あたりのギャラの額というのは。 

小室 平均にして80万ぐらいかな。あの頃としては高かったほうだと思います。当時の女優さんは、とにかくデビュー作が破格で1000万とかボーンと出て。そこからグーンと落ちて、3本くらいでやめる。そういうなかで3年半やって、ギャラも100万から70万にしか下がらなかった。30万しか落ちなかったのは、やっぱり社長の手腕が活きていたんだろうなって。 

女優にベッドに座ってもらうのに1時間かかる

ーー売れっ子だったのは、社長の手腕に加え、小室さん自身のキャラクターなどもあったのではないですか。たとえば、現場でも積極的に動き回っていたとか。 

小室 そうですね。台本を渡されたら、そこで自分でもちょっと台詞を変えてみたり、絡みに対して意見させてもらったりしてたし、なにかこう、積極的に関わっていこうという気持ちはあったかな。 

 

 

 スタッフさん受けは、めちゃめちゃよかったです。やりたくないのにやっていた女優さんも多くて、絡みを撮るためのベッドに座ってもらうまで1時間、2時間みたいな時代だったので。一緒に打ち合わせして、カメラアングルも決めてとか、そういうふうに関わる私みたいな女優はすごく少なかったから「仕事がやりやすい」とは言われてましたね。 

 でも、これは性格かな。ポジティブにとらえよう、みたいな。考えてもしょうがない、みたいな(笑)。 

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