AV業界は「お客様に教育をされてしまった」
ーー小室さんは、1日に撮影が12時間から16時間という現場が4日間続いて倒れたり、河川敷の撮影で感染症になったりと、当時、ハードな環境に置かれたことをコラムで書かれています。一方、それでも「私たちの時代はよかった」とも話されていますが、この真意は。
小室 監督を筆頭に、現場のスタッフさんと女優さんのコンセンサスが取れていた。そういう意味で「私たちの時代はよかった」という表現をさせてもらってます。
それ以降は、現場と女優さんのコンセンサスが取れていない状態で、肉体的にも精神的にも負荷を掛けるものを作品として撮るようになっていくので。その結果、女優さんたちに重い怪我を負わせる事件も起きましたからね。
ビジネスは変化し続けていくもので、変化するから存続できるわけですが、AV業界において変化し続けてきたのは主に女優さんが取るリスクだったんじゃないでしょうか。
ーーさまざまな性癖、性嗜好に応えるようになったがゆえに、撮影の内容に過激化の傾向が。
小室 そこはちょっとビジネス的にいうと、お客様に教育をされてしまったんだなと見ています。ビジネスをやる時に、やっぱりお客様を導いていかなきゃいけない。「こういうものなんだよ」「いいものなんだよ」と示して、お客様が「ああ、それいいね」と買ってもらえる。
けれど、業界がお客様の声をどんどん拾ってしまって、そこに合わせていってしまったのが、業界のミスジャッジだったのかなと。
ーーAV新法に繋がる話にもなるかと思いますが、小室さんは以前から本番の禁止を訴えていますよね。
小室 これは、現在は絶対に表に出てこない同世代の元女優たちからの相談を受けて、訴えています。彼女たちが最も困るのは、お母さんになった後に、PTAのお父さんたちに作品を見られたり、それに出演していたことに気づかれたりすることなんですって。