でも、見方を変えれば、自業自得と言い切れない面もあると思うんですよ。20歳という、かなり若い年齢で業界に飛び込んで、事務所に疑似のことを知らされずに本番をやっていたりとか、当時の契約書を確かめてみたら、自分にとってまったく意味のなさない契約をされてたりとか。
言い出したらきりがないんですけど、被害者意識でものを言っているだけだと、ただの感情論で片付けられてしまうところもあるので。そこはちょっと一線を引いて、ちゃんと理論とソースとデータというものを考えながら話をしないといけない立場だなと肝に銘じています。
なぜAV女優になったのかって、いまだにわからない
ーーそうおっしゃるだけに、法律や業界の動きをチェックされてますよね。
小室 今気になっていることは、数十年前の作品の二次利用報酬などについてです。
2018年以降、業界団体のルールにより、過去に出演した作品が再編集された場合、その二次利用報酬が女優たちに支払われることも増えました。しかし、それ以前に作られた作品の二次利用報酬は支払われませんし、ネット配信が存在しなかった時代に撮られた作品が配信され、現在も利益を生んでいても、その利益は女優に還元されません。
こうしたことについて、ほかの元女優さんや現役の女優さんたちがチェックしたくてもできないんだったら、ここにいる自分がやるべきなんだろうなって。やるべきことを与えられた人生を歩めるって、恵まれていると思いますよ。
冒頭で、お金が布石になったと言いましたけど、なんで自分がAV女優になったのかって、いまだにわからないので。正直なところ。べつにセックスがしたかったわけじゃないし。
だから、自分のためという面もありますよね。いまの活動って。
ーーちなみに小室さんは、AV業界からどう思われていると考えています?
小室 私? めんどくさい女だなと思われているんじゃないですか(笑)。「余計なこと言ってくれんなよ」みたいな。
写真=鈴木七絵/文藝春秋
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