プロサッカークラブの育成部門(ユース)を舞台に描かれた人気サッカー漫画『アオアシ』(小学館)。同作では、自ら考えて動ける「思考力」がメインテーマになっており、サッカーやスポーツだけでなく、ビジネスにも通じる内容が散りばめられている。

 ここでは、『アオアシ』のエピソードを事例にしながら、「思考力」について探求した仲山進也氏の著書『アオアシに学ぶ「考える葦」の育ち方──カオスな環境に強い「頭のよさ」とは』から一部を抜粋。たくさんの情報に接しても、ほとんど吸収できないことはないだろうか? それは、あなたの中にある“無意識の偏見”が関係している。『アオアシ』を通して、“無意識の偏見”から解放されるための物の見方・考え方を紹介する。(全2回の1回目/2回目に続く

©小林有吾/小学館

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偏見から解放されるには「心理的柔軟性」を高める

 偏見とは、思考が凝り固まっている状態です。

 であれば、偏見から解放されるには、思考のコリをほぐすこと。

 思考のコリがほぐれている状態を表す言葉があります。

「心理的柔軟性」です。

 イメージをつかむため、逆に「心理的柔軟性がない人」「思考がガッチガチな人」を挙げてみましょう。

 ・自分が正しくて、相手が間違っていると思っている

 ・相手の視点・視野・視座がわからないし、わかろうとも思っていない

 ・状況が変化しても、習慣を変えられない

 ・過去の成功体験を「不変・普遍の正解」だと思っている

 ・「◯◯しなければならないから」「◯◯すべき」という表現をよく使う

 ・「でも」から話し始める

 ・「最近の若いヤツは......」と言う

 ・積み上げてきたもの(既得権益)を大切にする、などなど。

 まわりにいる人の顔が浮かんできた方、少なくないのではないでしょうか。

 こういう人を「心理的ガッチガチ」と呼ぶことにします。

 心理的ガッチガチな人は、たくさんの情報に接しても、ほとんど吸収しないわけです。

 では、どうすれば思考のコリをほぐせるのか。

 ガッチガチだった冨樫が心理的柔軟性を得て「視野の強み」を磨いていくプロセスにヒントがあります。