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「人に訊け。訊いて、修正。この繰り返しだぜ」

「とりあえず、もうちょっと人を頼ったほうがいい。自分の中で解決しようとしすぎ...真面目すぎてな。信頼できる意見を求めて、人に訊け。訊いて、修正。この繰り返しだぜ、サッカーは」

©小林有吾/小学館

 この一連の流れが重く響いた様子で、うなだれる冨樫。

 そのあと、意を決して、同部屋のアシトに「ちょっとサッカー教えてくれ」と頼みます。

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「お前がどうしてそこまで視野が広いのか。何を見てプレーしているのか、逐一...詳しく教えろ」と。

©小林有吾/小学館

 まさか冨樫から教えを請われることなど想像もしていなかったアシトは、軽く動揺します。

 試合の映像を見ながらアシトの話を聞くうちに、ついに「冨樫のコリがほぐれる瞬間」が訪れます。

「そんなとこまで見えてんのかよ...」

 自分の思っていた以上の世界がアシトの中にあることに気づき、ガッチガチだった気持ちがほぐれて、心理的柔軟性をゲットするに至ります(14巻140話)。

©小林有吾/小学館

素直さを身につければ、情報の「吸収率」が高まる

 このあと、「視野」についてアシトからも貪欲に学び、自主的に練習を重ねた結果、福田から「本当に...よく身につけた、冨樫」と認められることになるのです(25巻258話・本書34ページ参照)。

 この「心理的ガッチガチ」に崩しが入って、みんなの影響でほぐれていく冨樫の成長プロセスにはグッときます。

 偏見を完全になくすことはできません。

 人それぞれ価値観が違うので、言わば「誰もがみんな偏っている」わけです。しかも無意識の偏りがたくさんあります。杏里が冨樫に言った「あなたはきっと、青井選手を無意識に下に見てるんですよ」がその典型です。

 無意識の偏見のことを「アンコンシャス・バイアス」と言ったりします。

 アンコンシャス・バイアスはなくせませんが、偏見をなくすことはできないと自覚することはできます。

 その自覚を持った上で、物事の評価を決めつけずに受け取る素直さを身につけることができれば、情報の「吸収率」が高まります。乾いたスポンジが水を吸うように、インプットを増やせるようになるのです。