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「習慣の壁」を越えるために知っておきたいこと

「痛感しろ、葦人。攻撃の時のように、守備でも無意識下で動けるようになりたいと。守備も、自分のものにしたいと」(13巻136話)

 これらが「習慣の壁」を越えて「している」になった状態、「考えなくてもできる」ようになった状態を表しています。

©小林有吾/小学館

 この「習慣の壁」を越えるために知っておきたいのが、「ホメオスタシス(恒常性維持機能)」です。

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 耳慣れない言葉かもしれませんが、ホメオスタシスは、生命を危機から守って安全を保つために、生物に備わっている機能です。具体的には、「変化」が起こるとそれを危険と判断して、元に戻そうとします。典型が、哺乳類の体温。外気温が高くなっても低くなっても、平熱がキープされるのはホメオスタシスのおかげです。

 ただ、ホメオスタシスは、その変化自体がよい変化なのか悪い変化なのかを評価することはしないので、一律に「変化=危険」ととらえてしまいます。

 なので、運動不足を解消しようとジョギングを始めると、心臓バクバク、息はゼーゼー、脇腹も痛くなり、翌日は激しい筋肉痛という形で、「おい、キケンだからやめろ!」というアラートを出します。

 こうして人は、三日坊主になるわけです。

 この壁を乗り越えるには、ホメオスタシスと友達になること。

 たとえば、急に激しいトレーニングを始めるとホメオスタシスがびっくりするので、ちっちゃく始めて徐々に慣らしていく。ホメオスタシスに気づかれないよう変化を小さくすることで、アラート発生を抑えるわけです。それを続けるうちに、いつのまにか「トレーニングをしている状態」にホメオスタシスが働くようになり、トレーニングができない日があると気持ち悪く感じるようになります。これがホメオスタシスと友達になって、「習慣の壁」を乗り越えた瞬間です。

「ホメオ君はともだち。こわくない!」とつぶやきながらやるのがおすすめです。君づけをすると、親しみがわいてきます。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。