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大人でも難しい“プレゼン”の教え方

――自分の気持ちと向き合えるようになると、どんな効果が期待できるんでしょうか。

森村先生 あおば学級には感情のコントロールが苦手な子が多いのですが、感情をコントロールするためにはまず自分の気持ちが今どういう状況なのかを知り、言語化することがすごく大事。これを“感情認知”と言います。なので日頃から、「今日の朝はどんな気持ち?」と子供たちに声をかけています。他の子の答えを聞くのも、いろいろな気持ちがあるんだと気づく効果があります。

リモート授業の様子 狛江市立狛江第三小学校提供

――あおば学級では、早くからタブレット端末を積極的に活用しているともお聞きしました。

荒川校長 狛江市の通常学級では2020年10月に1人1台のタブレットが配られたのですが、あおば学級では2018年頃から利用していました。タブレットを利用したリモート授業などもあおば学級が先だったので、通常学級の先生が「リモートってどうやるの?」と聞くこともよくありました。

森村先生 特別支援学級の子供たちとタブレット端末は相性がいいんです。自分が困っていることや好きなことを調べて発表する「自由研究」という授業をした時も、大勢の前で発表するのが難しい子が発表内容をプレゼン資料にしたり、事前に音声入力したりしていました。教室の前に立って大勢の前で発表するのは大人でも難しいので、多様な方法があれば安心して発表できて達成感につながりますからね。

プログラミング学習 狛江市立狛江第三小学校提供.

作ったゲームを持って校長に「やってみてー」と渡す子供たち

――確かにそうですね。あおば学級が積極的に取り組んでいる分野は他にもあるんですか?

森村先生 ゲームを作ったりロボットを動かしたりするプログラミング学習は特に力を入れています。授業で失敗すると理由がわからずパニックになってしまう子が、プログラミングだと集中力を維持できたりするんです。プログラミングは間違ってもすぐやり直しができ、正確に入力すればちゃんと動くのがわかりやすいみたいです。「人は裏切るけど、プログラムは裏切らない」という名言を残した子供もいますよ(笑)。

荒川校長 子供たちが作ったゲームを持って私のところに「やってみてー」と来るんですが、本当に複雑なゲームを作ってくるので全然できません(笑)。私が苦戦しているのを子供たちは満足そうな顔で見ているのですが、こうやって自分の得意なものを介して人と関わることが子供たちの成功体験になるんですよね。

森村先生 ©文藝春秋

森村先生 あおば学級は2年前からロボットのプログラミング授業を取り入れていたのですが、通常学級でも今後はやってみようと思っています。様子を見ながらですが、その時はあおば学級と通常学級の子供たちで一緒に授業ができたらいいなと考えています。自分たちが勉強したことを通常学級の子供たちに伝える経験も、あおば学級の子たちの自信になるといいなと思っています。