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《安倍氏は、マスコミに閣僚の醜聞を暴かれてつぶれた第1次政権の失敗をバネに、強力な指導者であろうとした。野党、マスコミのみならず、選挙演説のヤジにもムキになって反論した。だが、じかに接してみると、ソフトな人物だと感じる人が多い。相手の話をよく聞き、気を配る座談の名手でもあった。》(毎日新聞7月9日)
「敵」と「味方」というわかりやすいキーワードが出ている。このあたりから「安倍スタジアム」の原点が見えないだろうか。
保守政治家としての「情」
各紙の評伝を読んで、続いて考えたのは保守政治家について。
まず保守とリベラルの特徴をわかりやすく言うなら「情と理」だと私は考えます。「情」は保守の、「理」はリベラルの売り。しかし度が過ぎると「情」は身内だけにやさしくなり、「理」は身内でも争いが起きて分裂する。そのように見える。
安倍氏の評伝を読むと、先述したように「じかに接してみると、ソフトな人物」であり「明るさと情熱に、近くで安倍氏と接した人は引きつけられた」とある。近くにいる人や仲間内からすれば安倍氏はやさしい人であったのだろう。しかし安倍政治の光と影を考えるとき、この部分が「影」にリンクしていることにも注目したい。