中日信用金庫は7月12日、コロナ禍で業績が悪化した事業者向けの“ゼロゼロ融資”をめぐり、不正な貸付が行われていたことを発表した。前日の11日、「週刊文春 電子版」が不正なゼロゼロ融資の疑いがあり、東海財務局が立入検査していることを報道していた。中日信金は、顧客の売上を職員が無断で書き換えていたとして調査を進めるという。
「関係者の皆さまに多大なご迷惑とご心配をおかけし深くお詫び申し上げます」と謝罪した中日信金。なぜ不正融資が行われたのか。“不正融資”乱発の実態を一報した「週刊文春」スクープ速報を記事を再公開する。(初出:週刊文春 電子版オリジナル 2022年7月11日掲載 年齢・肩書き等は公開時のまま)
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“ちゅうしん”の略称で親しまれ、名古屋を地盤として愛知県内に21店舗を構える中日信用金庫。融資残高は1792億円、従業員数は約240名(2022年3月末)の東海地方の中堅信金だ。そんな同金庫に、コロナ禍で業績が悪化した事業者向けの“ゼロゼロ融資”に関連し、今年3月から東海財務局が立入検査を行っていたことが「週刊文春」の取材でわかった。
ゼロゼロ融資とは、実質無利子・無担保で行われる制度融資。コロナ化で業績が悪化した事業者を対象とし、民間金融機関では2020年5月から昨年3月まで行われていた。条件を満たせば、(日本政策金融公庫の場合)零細企業や個人事業主であれば最大6000万円、中小企業であれば最大3億円を借りることができる。また、融資を行った金融機関に対しては、県や市町村などの自治体から1.4~1.5%の利子が補給される。
同金庫の職員が明かす。
「ゼロゼロ融資は貸せば貸すほど利子が入ってくる制度なので丸儲け。中日信金は、営業成績を伸ばすチャンスと、コンプライアンス無視で融資をしまくったのです」
しかし、その過程で不正が発覚。今年3月8日午前8時、管轄する東海財務局の検査官十数名による立ち入り検査が行われた。
どのような不正が行われていたのか。