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 同年に発売されたKinKi Kids「硝子の少年」も私は「ダサい」からのお気に入りという同じプロセスを辿っている。山下達郎、竹内まりや夫妻から「懐かしさが一周回って逆に新時代を作るテクニック」のダブルパンチを食らったのであった。

 ちなみに、「MajiでKoiする5秒前」のカップリング「とまどい」も竹内まりや作詞作曲。こちらも名曲だ。

 セカンドシングル「大スキ!」は岡本真夜プロデュース。私もカラオケで歌ったことがあるが、「とってもとってもとっても……」「ずーっとずーっとずーっと……」の連続で、恐ろしく気力がいる曲だった。聴いていた友人にとっても地獄の時間だったろう。しかし彼女が歌えば、もう延々聴き続けられる。かわい過ぎて! CDジャケットは「もっと映りの良い画像があったのでは」と思うが、広末涼子のポテンシャルを証明した名曲なのは間違いない。

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1997年、ショートカットがトレードマークだった ©文藝春秋

 現在ワーナーミュージック・ジャパンから出した広末涼子の曲は、サブスクで解禁されており、MV9曲を含め視聴可能だ。竹内まりや、岡本真夜のほかにも原由子、広瀬香美、椎名林檎(シーナ・リンゴ名義)といった豪華アーティストが楽曲を提供しており、時にはアクティブに、時には切なく、ヒロスエの季節を彩っている。

お掃除ブラシを手に歌うヒロスエ

 MVは「MajiでKoiする5秒前」でお掃除ブラシを手にして歌うヒロスエ、「大スキ!」でモップをマイクに歌うヒロスエの破壊力に唸る! 掃除シーンと彼女は抜群に相性がいい!!

 さらに、スリップドレスで歌うシーンより、チノパンで自転車をガンガン飛ばしているほうが断然キラキラしている3rd「風のプリズム」。後半のデートのシーンより、前半の花屋を手伝ってるシーンの方が超魅力的な4th「summer sunset」。

1999年 ©文藝春秋

 すべてを見終え、ヒロスエは着飾るよりガシガシ動き作業している姿が美しいのだと確信できた。5th「ジーンズ」は多くの空のペットボトルが飾られた中で歌っていたが、彼女がいつ分別してくれるのかワクワク期待してしまったほどである(しなかったが)。

 さりげない日常でこそキラキラと光る。そんな彼女の生命力が、鈴を鳴らすような声に乗って届くので、どれも心地が良い。

 2002年に一度音楽活動を休止したが、2020年、竹内まりやと23年ぶりにタッグを組み「キミの笑顔」を配信。デビュー時からほぼ変わらない、声が微笑んでいるイメージ! 朗らかな気分になるので、これからもゆっくり、長いペースで歌い続けてほしいなと思う。