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 CMや歌では、広末涼子は生命力いっぱいで、いわゆる「太陽・ひまわり」のイメージなのだが、ドラマでは意外に逆。特に10代の頃は断然、儚げでガラス細工のようなヒロインが素晴らしい。「Summer Snow」、「愛なんていらねえよ、夏」、「リップスティック」。そしてなにより映画「鉄道員(ぽっぽや)」! 幽霊になって父親に会いに来た娘・雪子役は、本当に雪と一緒に解けてしまいそうだった。

 結婚・出産から復帰した2005年以降は色気とたくましさがプラスし、したたかな役を魅力的に演じるようになっていった。ドラマ「リーガル・ハイ」の無表情だがどこかコミカルな別府、「コンフィデンスマンJP」の「私にできるかしら」でコロッと男を騙してしまう波子、友情に厚い「ナオミとカナコ」の直美。映画「ミックス。」の弥生さんはまさに、人妻の色気とティーンネイジャーの躍動感がミックスしていて恐ろしい。

映画『おくりびと』に出演した2008年 ©文藝春秋

 練り上げた演技プランで臨んでいる感じはせず、自然にそこにいる。そして作品に清涼感を与える。透明感がケタ違いな彼女だからこそできる、超テクニックなのかもしれない。

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「涼子、ゆうて“仕事”だから!」

 こういった彼女の活躍を見てつくづく思うのが「切り替えと休養の大切さ」である。2004年、結婚・出産で休養に入ったのは大きな給水ポイントになったはず。人気絶頂期だったので事務所とかなり揉めたのは想像に難くない。が、今のヒロスエを見れば、よくぞ一度止まったと思える。

 広末涼子の切り替え力は、自身の前向きな性格によるものも大きいだろうが、もう一つ。彼女が4月に刊行した著書『ヒロスエの思考地図 しあわせのかたち』(宝島社)に、こんなくだりがある。

『ヒロスエの思考地図 しあわせのかたち』(宝島社).

〈私が“仕事”で悩み、辛くて、苦しかった時、かれこれ25年来となる別の親友が私に投げかけてくれた言葉だった。

「涼子、ゆうて“仕事”だから!」〉