広末涼子が絶好調だ。そもそも順調にキャリアを積んでいる人ではあるのだが、近年は特に、名バイプレイヤーとして充実している感がある。バラエティで魅せる笑顔も透明感に溢れている。7月18日で42歳だそうで、あああアラフォーなのヒロスエ!? いや、そう聞けばちゃんと年相応に見えるけれど、なんというか、良い年の取り方をしている。
彼女がデビューしたのは1994年。その2年後、ポケベルのCMで人気が爆発したのだが、当時のブームはよく覚えている。ファンが彼女を追いかけたというより、もはや時代が彼女を追いかけていた。ヒロスエにまつわる情報戦もヒートアップし、ニュースでは、常に大勢に囲まれモミクチャになっていた。その両肩にガスガスと過酷な視線と重い荷物が乗っかっていく感じは客観的に見ても明らかで、「ヒロスエすごいな」と同時に「大変そうだな」とも思ったものだ。
そんな異常なほどのヒロスエブームから26年。業界への疲労感を上手に削ぎ取り、鮮度をキープしているミラクル! 息子にヒロスエブームのことを話したら「自分で人気があるなんて言うなよ」と言われた、とやわらかい笑顔で語る彼女はなんとも瑞々しい。
美容法だけではこうならない。波乱万丈の芸能生活、どんな心の水分補給をしてきたのだろう。広末涼子の作品をちょっと見返してみたくなった。
「MajiでKoiする5秒前」の衝撃
1997年は彼女が表現者として本格的に注目された年といっていいだろう。反町隆史と竹野内豊と共演したドラマ「ビーチボーイズ」も大きいが、彼女の人気爆発プロセスにおいて、歌の功績は外せない!
1997年4月に発売されたデビュー曲「MajiでKoiする5秒前」は、彼女のピュアな生命力を余すところなく詰め込んだ、見事すぎる一曲だった。
とはいえ、はじめてこのタイトルを見たとき私は「だだだダサくない?」と戸惑った。「Maji」。しかもローマ字表記。マジか……。ところが蓋を開けると「ずっと前から彼のこと♪」というサビはキャッチーだし、ヒョコヒョコ跳ねながら歌うヒロスエはかわいいし、「Majiで○○する5秒前」という言葉は大喜利レベルで使いやすく、流行語として有能。ダサいと感じたことなどすっかり忘れ、お気に入りになっていった。