アウトドア愛好者のなかには、さまざまな「ガチ勢」がいる。そのうち、道なき道を車で突き進むことを無上の歓びとしているのが「オフロードガチ勢」である。

 聞くところによると、そんなオフロードガチ勢が集う聖地のようなエリアが相模川沿いの河川敷にあるという。その河川敷は、一体いかなる場所なのか。果たしてそこには、どのような人物が集まっているのか。

 未舗装路を走れる車を持たない取材班だったが、筆者の義弟が最近オフロード趣味に目覚め、ミニバンからハイラックスサーフに乗り換えていたことを思い出す。既にリフトアップなどのカスタムも済ませてあり、その河川敷にも何度か行ったことがあると聞いていた。

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 同乗を快諾された我々は、オフロード仕様の大きな車体に飛び乗り、件の河川敷へと向かったのだった。

首と腰が常時ガクガク…取材班に降りかかるオフロードの洗礼

 圏央道厚木PAで高速を降り、ものの数百メートル。一本道のガードレールがわずかに途切れたところに、未舗装路への目立たない入り口がある。草木で先は見通せず、一般人の立ち入りを拒むような様相を呈している。

 車が砂利道に入った途端、オフロードの洗礼が始まった。容赦のない振動と突き上げが、運動不足の我々の頸椎をメッタ打ちにする。

普通に歩く分にはただの砂利道だが、車の中では振動や傾きが大きく増幅される

「ちょ、まじか……」――取材班の一人が思わず声を上げた。自然と、乗員の誰もが頭上のアシストグリップに手を伸ばしている。普通に歩けばただの砂利道だが、無数の凹凸は車内をアブトロニックな空間へと変えてしまうのだ。

「ヤバい姿勢」で段差にチャレンジするガチ勢たち

 しかし、これはまだほんの序の口にすぎなかった。

「この辺までは砂利の目も細かいから、普通の車でも全然入って来られるんですよ」

 ドライバーが言うとおり、入り口付近の開けた場所にはミニバンや1BOXが止まっており、そこからオフロードバイクに乗り換える面々も見られた。

河川敷を走るジムニー達

 奥に進むにつれて、砂利の目は粗くなり、身体はせわしなく上下にバンプする。徐行のようなペースで進んでいるにもかかわらず、背骨から首にかけて、振動と突き上げの波状攻撃が絶え間なく襲ってくる。

 敷地には急な斜面や大きな段差が点在しており、常軌を逸した角度でそれらを駆け上がろうとする四駆の姿も見られる。こうした「難所」がオフローダーにとってのスポットになっているようだ。

ブロックを乗り越えようとしてアクロバティックな体制に

 障害物があれば無条件にそれを乗り越えようとするオフローダーの姿は、初めての遊具に夢中になった少年たちを思わせる。ラジコンを荒れた道で走らせる楽しみを、そのまま実車に引き継いでいるような感覚なのかもしれない。