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わずかな段差がアトラクションに

 いくらか状況を楽しむ余裕のできた我々を見て、ドライバーがサービス精神を発揮し、下り傾斜にあえて車を突っ込ませた。突然前輪がガクンと下がり、落下Gに股間がヒュンと寒くなる。

 落ちるのを待つジェットコースターのような態勢で止まり、「え、これ大丈夫なの?」と車内に不穏な空気が流れる。ドライバーはひとり悠然と車を進め、一方の我々は不細工な悲鳴とともに、意図しない小ジャンプを繰り出す有様であった。

この程度の傾斜でも、車内は大きく傾き恐怖心が生じる

 あとから見ると、その地点の高低差は30cmほどもない。何でもない斜面や段差の一つひとつが、車に乗るとアトラクションに変貌するのである。

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走行コースには「暗黙のルール」も

 開放されているエリアは数キロ四方におよび、ポイントによって地質や地形もさまざまだ。草木が茂り、自然に分かれ道のようになっている箇所もあるが、案内図などは当然掲示されていない。

明確なルートの定めはないが、反時計回りが基本的なルールなのだそう

 傍から見ると、だだっ広い砂利道を四駆やオフロードバイクが縦横無尽に走り回っているように映る。しかしやはり、各自が事故を避けつつスムーズに走行できるよう、「反時計回りが原則」といったルールが暗黙に了解されているそうだ。

車幅の広い車は枝で傷だらけになることも

 ルートが網の目のように交錯している箇所もあるが、常連の利用者の間では「初心者向け」「上級者向け」といったコース区分が大まかに共有されている。立ち入ってはいけない私有地も隣接しており、初めて訪れる際には詳しい人間に案内してもらうことが必須である。

 今回はもちろん、初心者向けのルートで河原に向かう。時間にすると10分程度ではあったが、砂利道にぬかるみ、草木にほとんど覆われた道と、路面状況や視界がめまぐるしく変わる。

 つねに身体が強ばっているため、助手席に乗っているだけで疲労困憊になり、絶叫マシンに乗ったあとのようなゲッソリ感に見舞われた。