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高台に設けられた清里の駅舎は…

 高台に設けられた清里の駅舎は、真っ白の壁がインパクトたっぷりのデザイン。おしゃれといえばおしゃれだし、どことなく昭和っぽいといえば昭和っぽそうな、小さな駅舎だ。

 

 その駅舎から出ると、まずはかつて小海線で活躍していたというSLがあって、駅前の町並みを見下ろすような光景が広がる。ちょっとした庭園のような階段状の広場があって、いちばん下まで降りていけば清里の町だ。中にはひと昔前に清里の町を走っていたというカラフルなバスが展示されている。

 
 

 清里駅前の町並みはというと、これはよくある観光地の駅前といったラインナップ。土産物店があれば飲食店があり、高原の町らしくソフトクリームを食べさせる店もある。ありふれたアクセサリーショップや、あとは日本全国一律でそれが安心感を呼び起こすコンビニも。そこに“清里ならでは”の何かを見いだすのは難しい。

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少し駅から離れれば…

 ただ、少し駅から離れれば、すぐに“バブルの清里”の残滓が目に入る。ちょっとネットで検索すれば山ほど出てくる、ミルクのポットの巨大オブジェが印象的な喫茶店か何かが廃墟状態に。その向いにもメルヘンチックなお城を模した建物があって、バブルの清里を象徴するメルヘンショッピングモール「ワンハッピープラザ」の跡地はもはや立ち入ることもできなくなっていた。

 
 

 他にもさらに少し歩けば出るわ出るわのバブルの清里。「おみやげはぬいぐるみが一番ヨ!」などという、もはやディズニーランドかピューロランドのほうがふさわしそうな看板が朽ちているものもあった。すっかり草木に覆われたペンションの残骸。清里の駅前は、ありふれた言葉でいえばすっかり“メルヘン廃墟”なのである。

 
 

 と、こうして廃墟を愛する皆様に寄り添って終わってもいいのだが、実際の清里は廃墟ばかりではない。駅前にはもちろん営業しているお店もたくさんあるし、だいたい結構な数のリゾート客が清里駅で降りていった。この町はメルヘン廃墟ばかりが目立つ寂れた過去の観光地、などでは決してないのだ。

 とはいえ、筆者と同じ列車から降りたはずのリゾート客たちは、いつの間にやら駅前から姿を消していた。バスか何かに乗り込んでどこかにいったのだろう。清里駅は、その駅前とセットで完結している駅ではなく、バスに乗り継いで少し離れたどこかに行く、そのための駅ということだ。