夏のリゾートといえば、高原である。何しろ標高が高く、緑に溢れているおかげで東京などの大都市と比べて気温が低い。風もよく抜けるから、体感気温でいえば10℃は違うんじゃないかと思うくらいだ。
そんな夏の高原リゾート、東京から気軽に行ける範囲でいうと、八ヶ岳ということになろうか。そしてその八ヶ岳の一角に、清里という町がある。
この清里、1980年代にはペンションが建ち並んでファンシーショップといういまや死語になっていそうなお店も駅前にずらり。バブルの時代、“高原の原宿”などと言われてたくさんの若い女性を集めたのだという。
それからもう30年。いったい清里高原、どんな町になっているのだろうか。玄関口の清里駅を目指した。
「清里」には何がある?
東京から清里駅まではおおよそ2時間ちょっと。中央線の特急「あずさ」に乗って小淵沢駅に向い、そこで小海線というローカル線に乗り換える。中央自動車道を使ってクルマで行けばもっと早いんじゃないかという気もするが、鉄道の駅を歩くのがもはや筆者の役割になっているので仕方がない。
ともあれ、特急「あずさ」と小海線を乗り継いで、清里駅へ。小海線は2両編成のディーゼルカーが走る、いわばしがないローカル線なのに、あんがいにお客が多い。地元の人というよりは観光客のような風貌をしているから、彼らも高原リゾート目当てなのだろう。
小海線が走っているのは小淵沢~小諸間。八ヶ岳山麓の、つまり高原をほとんどの区間で走る“日本でいちばん標高の高いところを通る鉄道”だ。
そして目的地の清里駅は、お隣の野辺山駅に次いで日本で2番目に標高の高い駅。だからどうしたという感じもするが、とにかくザ・高原の駅。そこに向かってリゾート客を乗せて高原列車は走ってゆく。
清里駅は八ヶ岳山麓、標高1275m。ちなみに山手線でいちばん標高が高い駅は新宿駅付近の約40mだというから、1200m以上も山を登ってきたことになる。そりゃあ、涼しいに決まっていますね……。