2019年7月27日放送のNHKスペシャル『半グレ 反社会勢力の実像』に出演し、一躍注目を浴びた人物がいる。3度の逮捕を経て、現在はYouTuberとして活躍している勇介氏だ。彼は、かつて大阪ミナミを制した「伝説のアウトロー」としても知られている。
ここでは、そんな勇介氏の半生を描いた『テポドン 大阪ミナミの「夜」の歴史を変えた暴れん坊』(講談社)から一部を抜粋。勇介氏が一目惚れし、結婚を決意した“ある女性”との恋愛と、彼女の両親に挨拶に行った際のエピソードを紹介する。(全2回の2回目/1回目から続く)
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「彼女だけは嘘をつかない」
最初の結婚をしたのは25歳のころです。
相手は女友だちの紹介で知り合った女性でした。紹介してくれた友だちは、過去にテレビに出演したこともある子で、僕とも古い仲でした。
ミナミを追われ、右翼の会長のもと、テレアポ部隊を結成した際もその子を呼んで仕事を手伝ってもらっていました。それまではたまに遊ぶ程度でしたが、システム金融でテレアポをしていた時代は仕事柄、ほぼ毎日一緒に過ごしていたと思います。
その友だちから再び電話があったのは、僕がミナミに戻った後のこと。ちょうど僕がボーイをしていたキャバクラで働けないかという連絡でした。
「私ともう1人の友だちも一緒に働きたいんやけど」
そう言われ、すぐに面接をセッティングしました。友だちが連れて来たのが後に結婚する陽子(仮名)でした。一目見て、彼女が店でも通用するほどの美人だとわかりました。水商売的な言い方をすればかなりの上玉です。
その一方で、内心でも「可愛いな」と思っていました。長く水商売の世界にいるせいで、綺麗な子たちには見慣れているつもりでしたが、陽子はそのなかでも別格として僕の目に映りました。簡単に言えば「どストライク」な女の子です。
といっても、当時はすでにキャストも十分に集まってはいて、店側も人手に困っているという状況ではありませんでした。上層部も新しい女の子を迎え入れることには難色を示していましたが、知った顔ですから、僕としてはどうにか働かせてあげたいという気持ちもありました。