ところが、この熊谷のあたりでは国道17号がそのまま旧中山道。とうぜん幅の広い大通りで、クルマ通りも多いから旧街道の時代の面影はすっかり消え失せてしまっている。
遮熱舗装された中山道を行くと「エントランスに温度計が掲げられている建物」が!
その中山道、路面が遮熱舗装されているといういかにも熊谷らしい国道17号を西に向かってしばらく歩く。すると、大きな建物が正面に見えてきた。1897年創業、埼玉県でははじめての百貨店という老舗の地場百貨店・八木橋百貨店だ。
エントランスには手製の温度計が掲げられていて、その日の最高気温が表示される遊び心も。これがまた、あついぞ!熊谷らしさというところで、ワイドショーが喜んでやってくる理由のひとつになっている。
そして、旧中山道はちょうど八木橋百貨店のところで国道17号から逸れて脇の細い道に移る。つまり、旧中山道は百貨店の中を貫いて走っているというわけだ。それを示すかのごとく、百貨店の脇には「旧中山道」と大書された碑も建つ。宿場の中心たる本陣も、八木橋百貨店の近くにあったようだ。
江戸時代の宿場の中心に、いまでは熊谷のシンボルの百貨店が建つ。遠い昔のことのようで、歴史はつながっている。
実は埼玉県で10本の指に入る都市「熊谷」
八木橋百貨店と熊谷駅の間、旧中山道とJR高崎線の間には、昔ながらの商店街がいくつも連なっている。もちろんずっと絶え間なく店が続いているわけではなくて途切れ途切れなのだが、店のラインナップはなかなか個性的だ。
というのも、いかにも昭和の色の濃い商店があると思えばスナックがあったり、さらにはパブ・クラブといったオトナのお店もあったり。その合間にちょっと小洒落た居酒屋や飲食店があって、はたまた古びた喫茶店。それでいて、オフィスビルのような類いもあれば、繁華街らしく“無料案内所”の看板も。もちろんふつうの住宅だって並んでいる。つまりは、とにかく雑多なのだ。
だいたいどの地方都市にもあるような光景といえばそうだが、オトナのお店系とそれ以外のお店はエリアがくっきりと分かれているケースが多い。
ところが熊谷は、その辺の境目があいまいで、全体があらゆる意味でバランスの取れた繁華街。中央には道路の真ん中が緑地化されたシンボルロードもあって、コンパクトとはいえないかもしれないが、なかなか歩いていておもしろい。さすがの埼玉県北部を代表する都市なのだ。