突然ですが、コロナにかかりました。

 小旅行から帰ると、何だか身体がだるい。最初は遊びすぎて疲れたからかな、と思っていたのだけど、暫くすると熱が上がってきた。まだ前期の授業も全部終わってないのに、これはあかん。でも何が一番あかんかと言えば、勿論、無理を推して授業をして、結果として大学中にウイルスをまき散らす事だ。とはいえ、授業の構成上、「最終回の講義」はしないと、試験やレポートに向けて形にならない。え、これどうしたらいいんだ。

 大学での手続きの為には、とにかくお医者さんにいって診断を受け、コロナかどうかを確定しないといけない。しかし、第7波の真っただ中、感染者数が毎日の様に過去最高を更新する日々では、病院はどこもいっぱいだ。39度前後の熱がある中、朝一番から、住んでいる街にある「発熱外来」を開設している病院に片っ端から電話をかけるけど、どこも話し中でかからない。結局、15軒の病院に、代わる代わる電話をかけたものの全て駄目、気がついたらどこも予約でいっぱいになっていた。何だよ、日本シリーズのチケットでももう少し取り易かったぞ。一体どうなるんだ、俺。

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コロナで倒れている間に首位が近づいた

 とはいえ、他に方法がある筈もなく、家に幾らか残っている解熱剤を飲んで、無理やり熱を下げて寝て、翌日の朝を待つ。再び熱が39度近くまで上がり、意識がもうろうとする中、今度は電話だけでなく、オンライン予約も駆使して、再チャレンジする。そもそも「発熱外来」どうして当日だけの受付なんだろう。これ、「当日券あります」の残部少数のチケットを求めて、朝から長い列を作って並ぶのと同じじゃないのか。

 それでも何とかオンラインで予約が取れたので(ありがとうございます)、最後の体力を振り絞って病院に行く。結果は、めでたく陽性反応。お医者さん曰く、「抗体検査なのにこんなにはっきり結果が出ています」。そりゃそうやろ、この数日間でどれだけ体内で大量のウイルス養って来たと思ってんねん。ようやくちゃんと職場に連絡を入れて手続きをして、安心して倒れさせて貰う事にする。授業は当然休講になる。考えてみれば、この体力ではたとえオンラインでも90分の授業なんか出来る筈がない。だったら、最初から諦めてお休みにしてたら良かったんじゃないか。失敗したかな。

 それから数日すると熱も下がって来た。そして思う。あーあ、せっかくのオールスター、宗君の晴れ姿だけでも見たかったな。だってずっと寝室に隔離されてる、いて居間には入れないから、テレビすら見れないんだもん。そうかもう週末だから、ペナントレースも再開してるんだ。で、オリックスはどうなってるんだろう。あれ、いつの間にか3位まで上がって来てるじゃないか。首位までは……え、1ゲーム?(8月1日現在)。ずっと寝てたし、隔離されてるから聞いてないぞ。という事は、この首位西武を相手の3連戦を勝ち越したら、2勝1敗でも、首位に並ぶの? 何それ、凄くないか。

 でも何かがおかしい。確かにオールスター前からパ・リーグは混戦だったので、ロッテとの最初の3連戦を全勝すれば、上位との差が一気に詰まるのは理屈ではわかる。でも、首位に近づくというのは、ほら、何かとんでもない連勝とか、すげー劇的なサヨナラ勝ちとか、そういうドラマが繰り返されて、実現するものだと漠然と思ってた。だって、少なくとも昨年はそうだったじゃないか。あの「阪急時代以来の11連勝」とか、大量リードを追いついてからのT-岡田のサヨナラヒットとか、いろいろなドラマがあってようやく首位に追いついた筈だ。でも、今年はそこまでそういう派手なシーンは、山本由伸のノーヒットノーランくらいしか思い出せない。なのに、いつの間にかもう首位は目の前に来ている。え、そんなのでいいの?

 何だか不思議な気がする。研究者の仕事に例えるなら、苦労はしていないのに、気がついたら結構いい論文が書けていた様な感じ。でも、そんな都合の良い事、ってあっていいのだろうか。そもそも、あるものなのか。

 いや、ある。