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予定があるのがこんなにうれしいんか

――風邪はひきませんか。

井上 この生活になってから世間がコロナ禍になったけど、幸いコロナにも感染してないし、風邪もひいたことはないですね。車中泊以前は、普通に風邪をひいてましたけど。たぶん、車中泊になってからは常に気を張ってるんだと思いますよ。家で生活していた時と今の生活を比べると、気を抜く時間ってあんまりなくなった気がします。

 運転しているときもそうですけど、目覚めた瞬間に「今日はどこへ行こう」となる。なにも予定がなくてもボーッとしていられないというか。ずーっと滞在はできないので次の移動地を考えなきゃとか、常にそういうことを考えて生活しているので気を張っているんですよ。

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『#離婚して車中泊になりました』より ©井上いちろう/朝日新聞出版

――予定のお話が出ましたが、作品のなかで「あてのない旅は自由であるけど不自由」とおっしゃっています。このモヤモヤは、最近は薄れつつあるものでしょうか。

井上 いや、相変わらずですね。起きて「今日何しよう」という日はなくならないです。それでも大きな予定は立てていて。いま、ちょっとワクワクしているのが岐阜の郡上おどりが3年ぶりに開催されると。盆踊りを四日四晩やる祭りで。8月なんですけど、それに行くことは決めてます。

 ここ3年間、それほど予定を作らずに生きてきて。それにはコロナも絡んでいるわけですけど、予定があるのがこんなにうれしいんかって、改めて思ってて。

#離婚して車中泊になりました』(朝日新聞出版)

――「今日はなにをやろうかな」と考え込んだりすることも。

井上 あります。車を出しちゃったら止まれないんで、計画はある程度立てないと。だから、高速を降りて下道を走るにしても、それも僕のなかでは計画として立てたものなんですよ。知らない街だからこそ緊張して走らなきゃいけないので、すべてを決めてから「さぁ」と覚悟を決めてエンジンをかけています。