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億レベルの印税が入っても車中泊生活をやめない

――もうひとつ気になるのが、単行本が大ヒットして印税が億レベルで入ったりしても続けられるのかなと。

井上 やめません。そんなもんじゃ、やめないです。というか、お金は関係ない。これはカッコつけて言ってるんじゃなくて。実際、そんなに売れてないからアレですけど。でも、売れたとて……これは「車中泊生活をやめてはいけない」の話にも通じるけど、現在の生活はアイデンティティになってますから。

 

――自分で質問しておいてなんですけど、たしかに僕もサマージャンボ宝くじが当たってもいまの仕事は続けますね。たいした仕事じゃないですが、アイデンティティと直結していますから。

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井上 いやらしい話になるけど、これ以上有名になるのも微妙なんですよ。いまの3万人ぐらいのフォロワーさんとチマチマやっているのが心地いい。大ブームになったら、あとは落ちるしかないし。ようするに、目に触れられる部分が増えると、それだけ規制というか、自分でも気にしなきゃいけなくなるところが出てくるから。自分で「自由だ」と思えてるものが、どんどん角を1個ずつ引っ込めなきゃいけないようになる。いまですら、ちょっと考えちゃう部分があるのに、もっと増えるのは厳しいなって。

 僕の車が走ってたり停まったりしているのを見た人に「ああ、あの車中泊の漫画のやつだろ」と言われるようになると、それはそれで気が抜けなくなるなと。いまぐらいなら、そんなことほぼないですし。

 

愛媛県の今治とか、新潟県の長岡とかが最高です

――『#離婚して車中泊になりました』を読んで、車中泊生活を始めようと思い立つ人は少なくないと思います。そうした方々に向けて、車中泊ハックを教えていただければ。

井上 人それぞれ嗜好も違うので、なんとも言えないですけど。ただ、こんなんする人というのはあんまり人好きじゃないでしょうから(笑)。地方の心地よいパーキングエリアとか道の駅とか、そういうところを探すのに躍起になるのがいいんじゃないですか。

 いま、僕がハマっているというか、楽しんでいるのは、1カ月ぐらい滞在するのに適している町を探すことで。愛媛県の今治とか、あのあたりは僕みたいな生活をしている人間にはものすごく心地いい。

 なんていうのかな。街や道のデザインがすごく緩やかなんですよ。どこか1カ所にすべてが固まっている街ってあるじゃないですか。そこから出ちゃうと、あとは田んぼか住宅街しかないような。今治はそうじゃなくて、駐車場完備の大きなスーパーがあるかと思えば、ちょっと離れたところにホームセンターがあって、さらに進むとドン・キホーテと健康ランド、もうちょっと進めば映画館があるとか、街のバランスもそうだし交通量も絶妙やったりする。ほかだと、新潟県の長岡も最高ですね。