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「俺、性欲あります!」超平和な最終回のような初回

「湊さん、俺、性欲あります!」

「お友達から始めてもらえませんか」

 もはや最終回のような初回だが、そこから手料理を食べさせようとしたり、壁ドンならぬ“コインロッカードン”したり、キスしようとしたり、思いをストレートにぶつけ続けるシンと、それをのらりくらりとかわす湊の姿が描かれる。

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『先輩、断じて恋では!』も『みなと商事コインランドリー』も、どちらも「告白」「ほぼ両想い」が最初にあり、そこからの不安や戸惑い、逡巡が描かれていく。年齢差や自信のなさがネックになっても、「同性同士」はもはやハードルにはならない。そこに『おっさんずラブ』『何食べ』『チェリまほ』などの先達が拓いてくれ、もはや一ジャンルとして定着した「BL」的ドラマの平和な土壌がみえるのだ。

『先輩、断じて恋では!』(番組公式SNSより)

 今はテレビ東京、MBSを中心に、深夜ドラマでBLドラマが量産され続けている。それも、幅広い対象をカバーする作品よりも、「BL好き女性」に狙いを定めた純粋BLが並び立つ。安定した需要が見込める「飯テロ系ドラマ」を量産するのと同様に、一定層のファンを安定して獲得できるコンテンツの一つとして、BLも量産の時代に突入している気がする。

“スターへの階段”になっているBLドラマ

 ちなみに、BLドラマにはスーパー戦隊や仮面ライダーなどの特撮出身者が多く出演しており、『先輩、断じて恋では!』にも、『仮面ライダーセイバー』(仮面ライダーセイバー役/内藤)と『仮面ライダーエグゼイド』(仮面ライダーブレイブ役/瀬戸)、『仮面ライダー龍騎』(仮面ライダーナイト役/松田悟志)と、仮面ライダーの主演&メイン格が集合。

活躍の場を広げている『チェリまほ』の出演者たち

 また、『みなと商事コインランドリー』主演の草川は、『チェリまほ』でお調子者だが優しい若手営業マン・六角祐太を演じていた。今クールでは『テッパチ!』(フジテレビ系)に町田啓太が、『石子と羽男―そんなコトで訴えます?―』(TBS系)に赤楚衛二が、『オクトー~感情捜査官 心野朱梨~』(日本テレビ系)に浅香航大が出演と、「チェリまほ」勢が各局をジャックする“チェリまほ祭り”がひそかに開催されている。

「戦隊・ライダー→朝ドラ」が一時続出していたが、今は「戦隊・ライダー→BLドラマ」が新潮流になっている。イケメン好きママと、BL好き女性をカバーする最強の流れ。なぜならどちらもハマったファンは固定客になり、他の作品も追いかけて応援してくれる人が多い、“濃い枠”だから。

 テレビ局的にも役者的にも、BLドラマはメリットだらけなのだろう。