すでに『梨泰院クラス』を見終わっている人なら分かると思うが、これから先、新をめぐる優香との恋愛バトルの行方もきっと描かれていくだろう。その時、彼女がどんな演技を見せてくれるのか非常に楽しみだ。
キャスティングの妙味や、今、このタイミングでこの役を演じる運の強さを指摘する声もあるかもしれないが、運など関係なく、これまでの積み重ねが実を結んだわけであり、まごうことなく彼女自身がその手でつかみ取ったものである。まだ出演本数こそ少ないが、このドラマは彼女にとって間違いなく代表作になり、俳優としての評価もより一層高まると言える。
Vシネマの帝王も認める俳優スピリッツ
『六本木クラス』第3話で疾走する姿を見せた彼女は、昨年12月に放送された前後編のドラマ『風の向こうへ駆け抜けろ』(NHK総合)で、地方競馬からG1レースへ挑むジョッキー・芦原瑞穂を演じた。
女性騎手として華々しく中央競馬デビューしたものの、まったく勝つことが出来ずに地方競馬へ移籍してきた瑞穂。持ち前の負けん気のせいで初日から厩舎の人たちとの不協和音が生じるが、立場を悪用して肉体関係を迫ってきた馬主・月柴(池内博之)を投げ飛ばしたことから次第に受け入れられる。
やがて瑞穂は過去の落馬経験から来る恐怖心を克服すると共に、馬はもちろん、調教師や厩務員らと力を合わせ、桜花賞という大きな夢に向かって突き進んでいく。
古い価値観や理不尽なハラスメントに毅然と立ち向かう瑞穂の姿は、平手のパブリックイメージそのもの。だが彼女は瑞穂の強さだけでなく弱さも十分に表現し、役に生命を吹き込んでいた。
また、本作で彼女と共演した俳優・小沢仁志は自身のYouTubeチャンネルで、落馬シーンで音を立てて顔を地面に叩きつけた彼女を評し「根性の入っているいい女優」と賞賛。
このことからも、彼女がVシネマの帝王も認める俳優スピリッツの持ち主であることがうかがえる。